かじられる

ジョーカーのかじられるのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.1
ミルフィーユのように重ねた脆い理性より、一滴の血痕の方がはるかに説得力を持ってしまうのは皮肉だね。

誰だって苦しくてもバカらしくても、笑ったフリをしてやり過ごすのに、ただわたしがわたし足りうるその見えない血潮は誰が気づくんだろう?狂気というものがその硬直した空気の風穴となるのなら、理性からいつまでも逃げてくれと思わず祈ってしまった。

いつから個人が孤人になったんだろう?手前勝手なレーベルの向こうでピエロにならざるを得なかった誰かが階段で嬉々として踊ってる。

みんなただ口角を上げて笑いたいだけなんだ。その足跡にもきちんと血が流れてるのをお互い認め合えるくらいに。
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