凶悪犯罪犯を私人逮捕する生配信番組… 風のPOV映画

次から次へとスピーディーに進行する捜査に惹きつけられ、これで事件解決かと思ったところからの新たな展開で驚かされるのはいかにも韓国映画らしい

これからこういう配信や映画が増える気がする。承認欲求って怖い

真実を知りたいか？

チョ・ジャンホ監督、脚本、カン・ハヌル主演による韓国製作のスリラー。
連続殺人鬼をリアルタイムで追跡する配信を始めた主人公が巻き込まれる騒動を描く。
主人公となるライブ配信者のウサンをハヌル、彼に協力する配信者のマチルダをハ・ソユンが演じているほか、カン・ハギョン、ハ・ヒョンス等が登場。
物語は、様々な動画サイトが次々と切り替わるオープニングとなっており、本作品の世界観が示されることに。
次には、リアルタイム動画配信サービス「WAG」で、犯罪チャンネル登録者数No.1を誇るスター配信者であるウサンが、マチルダの協力を得て巷で起きている連続殺人事件の考察を始めるのだが、これがなかなか過激であり、基本この手の配信動画を見ない私としては、かなり衝撃的だったところ。
以降、その配信で人気が落ちてしまったウサンが、再び1位の座を取り戻そうと、プロファイリングにより次々と手掛かりを手に入れ、真犯人に迫っていく様子を生配信していく姿が中心となるのだが、途中、視聴者からのコメントが入るのはもとより、15秒程度のスポンサーCMが入ったりと、まるで本当の生配信を見ているかのような感覚に陥った次第。
そのスポンサーCMの一つが「暗殺要員ジュン」なるアニメとなっており、これはチェ・ウォンソプ監督『ヒットマン エージェント：ジュン』や、その続編でこの夏に公開された『ヒットマン リサージェンス』のキャラクターであったのには、ニヤリとさせられたポイント。
生配信であるが故のノンストップ・サスペンスのようなエンタメ度の高さと、投げ銭を得たいがための過激さといった、まさに現代を切り取ったようなテーマの相性の良さが全面に出ていたものの、私的にはもう一捻りあると良かったかなと思うとともに、エンドロールへの入り方が秀逸であったのに加え、もし邦画リメイクがあるとするならば、主人公は小栗旬、女性配信者を馬場ふみかか横田真悠、そして途中絡んでくる謎のオッサンは次長課長の河本準一一択でお願いしたい一作。

怪物を知るには、心の闇を知れ。

安全圏から眺めるスリラー

配信プラットフォーム「WAG」はNo.1配信者だけが広告料を独占できる仕組み。
そのため配信者は過激さを競い合い、より強い刺激を視聴者に届けようと必死になっていく。

犯罪事件の分析で人気を集めるウサン（カン・ハヌル）は、連続殺人鬼を追うため、殺人を再現する配信に踏み切る。ところが他の配信者とのコラボ企画をきっかけに、予想外の事態に巻き込まれていく――。


映画は配信画面の視聴者目線で進む。
コメントやスパチャが飛び交い、時折CMが入るのもリアルだ。
形式的には映画『search』を連想させるけど、主人公と観客が一体化した『search』と違い、今作は「配信者と視聴者」という壁がはっきりしていて、観客は常に安全圏にいる。
主人公と同じ体験を追体験する感覚が薄い。

その為、スリラーとしての緊迫感よりも、過激で愚かな配信者を眺める気分が強い。
そんな冷静な傍観者の視点が残るため、伏線や「驚きの事実！」が透けて見えてしまい、意外性に乏しく感じて残念だったなあと思う。

私人逮捕系配信者の自業自得を見ているようで、最後まで眺める絵になってしまった。
配信者の愚かさを描くだけならば、そこまで目新しいわけでもないので、観客として過激さを望む側に回ってしまう、闇に加担できれば面白くなれそうだっただけに残念。



カン・ハヌルは出ずっぱりなので、彼のファンは楽めると思うの(´▽｀)

配信画面のコメントが理解できればさらに没入できるはず。
スパチャ（投げ銭）だけは翻訳されていて、
「ズボンが尻に食い込んでる」
コメントの無意味なリアルさが面白かった。


字幕の限界
配信画面をそのまま流すので、会話の字幕、生配信の説明テロップ、コメ欄やスパチャ、、等々どうしても情報量が多くなる。
そのため字幕の位置が上下左右に散らばってしまい、映画館の大画面では視線が忙しい(;'∀')
それでも色を変えたり工夫をされてたと思うけど、いっそ合成して日本語に変えるくらいしないと字幕の限界だなあと思う。
ネイティブの人と評価の差がでるのかな。

配信画面を見る映画だからこそ、大きなスクリーンよりも、むしろPCやスマホで観る方がしっくりくるのかもしれないのが、惜しいなあ思ってしまう映画でした。