リュック・ムレの短編ドキュメンタリー。孤立する集落と黒い大地を映している。ナレーションで繋いでいく作品だが、ところどころに政府批判が盛り込まれていてよかった。

糧なき土地より糧なき土地やんと思いつつ日本にだってポツンと一軒家と言う素晴らしいカルチャーがある事を思い出したが補助金目当てでなんちゃらみたいのが結構うげぇ…となる、別にいいんだけど。最終的に贅沢は敵です！みたいな事言い出して何事かと思ったが、ラストショットが『ブリジットとブリジット』のファーストショットに繋がりこっから巣立って様な二人が出て来てなるほどなぁとなった。

リュック・ムレの短編ドキュメンタリー
道路や電気といった現代的なインフラから切り離された二つの山村を、民族誌的ドキュメンタリーへの意図的な皮肉や風刺的アプローチで捉えたというもの。

登場するピレネー山脈のマンテ村とアルプス山脈のマリオー村は、道路も電気も店もなく、それぞれ人口50人と28人、そして羊やヤギたちという、まさに“世界から消えゆく地”。
この地の現状や過去の歴史を、意図的に選んだという質の悪いショットと、時に軽快な独特のナレーションで見せていく。

生徒は3、4人しかいないが学校もあり、国民投票も行われてる(投票者9人なので開票もあっという間)シーンや、この環境下でも雪の中ソリで楽しんでいる人々の姿もあり、文明から切り離されているからこその人間のたくましさも感じます。

「Terres Noires（黒い大地）」は、黒っぽい土壌や荒れ地という地質的な特徴と、社会から取り残された場所、文明の外側にある影の部分という象徴的な意味合いを兼ねているようです。

※ここにある写真は、『ブリジットとブリジット』に出演したフランソワーズ・ヴァテルが一瞬だけ登場するシーンなので作品全体のイメージとは異なります。