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危険な情事のkoyamaxのレビュー・感想・評価

危険な情事(1987年製作の映画)
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ワンナイトカーニバル ビヨンド 地獄!

一夜の恋VS宿命の絆
相反する男女の世界観、壮絶なバトル!


再鑑賞。


家庭持ち男のワンナイト。。。
はっきり言って、民法上の不法行為に間違いありません。
よくないことですが、、
正直、妙齢の女とひと時を楽しむのは男として、まんざらでもない。
それで終わればそれでよし。不可抗力なら致し方ないはず。

心の誰かに根拠なき同意を求め、不毛な言い訳が頭を巡る。。

ここまでの妄想は誰でもあるはず。。実行するかは別ですが。。

という、男性諸氏多分これ以上の共感性はないんじゃなかろうかという導入。

秀逸^^;

ナインハーフと同様に異性の世界に取り込まれ出口がなくなる
一つの怪異譚と言ってもいいかもしれませんが、
自分から入り込んでいくので始末が悪い^^;

今ある地位が奪われる恐怖。
家族の命を奪われる恐怖。
自身の命を奪われる恐怖。

全部自業自得なんですが^^;
ざまあみろ!と言えない強烈な共感性を有しています。
こんな罪なやつだけど、この状況なんとか生き残ってほしい!
自分たちもそうなるかもしれないから!と、男心鷲掴みです。

そのあたりは、ほとんど勝手な男の側からの見解ですけどね。
ワンナイト相手の女性、アレックス。
その強い思い、やるせなさもわかり、むしろ何考えてるかわからないやつどころか今日まで一人で生きてきた、いたたまれなさすらある。


アレックスにも同情する余地はたくさんあるのですが、、、

ここを完全に「男側から見た女」に徹底したのがすごいと思いました。
観せる対象に向けての徹底した「不倫する末の恐怖サービス」がすごいです。

対象とは、そういうことをするかもしれない男。と腹を括っていて、

その「主観的に捉えた現実を徹底して描く。」ことを貫いています。

公開当時でもその扱いに賛否両論あったみたいですし、
今なら無理かもしれません。。わかりませんが。
男女どっちの心情にも配慮し中央値を選ぶ。という考えをかなぐり捨てた演出に賞賛します。
同じ立場であるならば、絶対にこれを見た後、男も「すぐには」同じことをしようと思わないはず笑



出会って関係性に及ぶまでがスムーズで、妻子は外出。
雨の中での再会という偶然性も含めて、ワンチャンあり。
前日妻とは何もない。ちょっとならいいかと思わせる下心の説得力。

ずっと家にいてほしいアレックスの行動。
そして他にも子供を一心不乱に探す取り乱した奥様等
絶対にこうなってほしくない可能性を示唆するサスペンスなどの連続で、入り口の共感性も強力ですが、細かな情景描写の積み重ねで、怒涛の後半からは安堵する時間などありません笑


エイドリアンラインお得意の、シルエット、煙、水、雨。
画面そのものが心情と一体化した情景描写表現。

そして、アレックスの家という異界へ続くエレベーター、ドア。

そこに足を踏み入れた段階で運命は決まっているのでしょう。
ちょっとした出来事でとんでもないところへ連れて行かれます。
気をつけましょう^^;
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