馬井太郎

ゴッドファーザーの馬井太郎のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.2
この第一作目は、ゴッドファーザーを中心とした家族・ファミリーの血縁結束継承を、マフィアの抗争の中で描いた復讐劇である。
家族の絆は強い。冒頭の結婚パーティーで、その面々が紹介される。俳優陣での親戚関係はないようだが、タリア・シャイアーは、コッポラの妹で、作曲に加わったカーマイン・コッポラは、二人の父親であるという。このように、映画界、芸能界に親子、兄弟・姉妹、親戚関係が実に多いことに驚かされる。それは、日本においてもしかりで、読者も十分ご存知のことだと思う。
コルレオーネは、ことのほか、その家族を気遣った。自分の後を、誰に継がせるか、内輪もめせず、仲良く繁栄を大きく築いていってくれるか。歳を取ると、人間は、死後のことを考えるようにできている。親の、子を想う心は、空よりも高く、海よりも深い、と云った先人に近づいていくような気さえする。
ニーノ・ロータの曲がことさら心に浸みる。アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」と同じように、映画音楽という枠を超えていつまでも我々の心と唇に残ることだろう。
余談になるかもしれない。マーロン・ブランドは、セリフが入らない代表俳優だといわれる。カンペを、いたるところに貼っておくのだそうだ。照明スタンド、テーブルの下、などなど。
セリフの時に、天井を見たり、床に眼をやったり、あらぬ方向に顔を向けたりすることがあったら、それは、彼の癖でも演技でもない、カンペを探している、と見て間違いでもなさそうだ。