馬井太郎

雷桜の馬井太郎のレビュー・感想・評価

雷桜(2010年製作の映画)
4.0
内容は、ごくありきたり、江戸時代に舞台をかりたよく観るラヴロマンスだが、この上映時間は、並みの映画ではない。133分とは、かなりの長編もので、下手をすると観客を飽きさせかねない時間である。
大金を投じたように思えない、冒険すらもせず、無難な色彩と構図とキャスティングのなかで、意外と引き込まれる魅力のあることに、しばらくしてスクリーンに眼が貼りついた。
それは、「凝り」がない、凝りを感じなかった、ということである。・・・凝り、とは何か? 
いじくりまわさない、複雑な手をこねくり回さない、単純・素直な描写・・・うーん、なかなか、うまく表現できないか。
蒼井優と岡田将生の決闘シーン、彼女のへっぴり腰、スリルも迫真も感じられないから、普通なら、そっぽを向きたくなるところ、まあ、たぶん、わたしだけかもしれない、どう決着するか、逆に吸い込まれていったのである。
馬が、いい。これだけ多くの綺麗な乗馬シーンが出てくる映画は珍しい、とふと思う。ふたりとも相当練習をつんだことだろう。乗り降り(と云っても、降りるところだけだったが)、蒼井優は馬の左側、岡田将生は右側からだった。(変なところに?眼がいってしまうなあ)
家老・柄本明の貫禄が画面を引き締める。いや、画面ではない、映画全体、である。

注目はラストシーン、これがなかったら・・・観る甲斐はなかっただろう、と思う。