馬井太郎

オアシスの馬井太郎のレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
4.5
この、二人並んだポスター、特に、ムン・ソリの、小首を傾けたポーズが、いい。軟焦点(ぼやけ)効果も成功している。見かけはどうあっただろうとも、二人の心は固く結ばれている、素晴らしい写真である。
刑務所を出たばかりのソル・ギョングが、初めてムン・ソリの住まいを訪れるシーンに眼を奪われた。おいおい、ちょっ、ちょっと待ってよ。・・・まさか、まさか・・・重度脳性麻痺? 俳優なのか? 韓国映画を殆ど見ない私に、俳優が誰かなんて、わからないから、しばらくは、そうとは、つまり演技などと、信じることができなかった。オーバーでも何でもない。
近所に障害者の学校があって、たまたま下校時間にあうと、その生徒たちがバスに乗ってくるのと一緒になることがある。この映画と比べると、彼らは、まだ、軽い方であるが、乗り合わせた客たちは、わたしも含めてそれなりの気を使うことになる。障害が重いと、サポーターが付き添っている。見るにつけ、家庭環境、その将来など、思うことを言葉にできない重いものに胸がしまる。
臭いものには、蓋(ふた)をする日本では、造れなかった映画かもしれない。
時折、あれ?! と驚かされるシーンがある。これは、意味深長である。監督:イ・チャンドンの言いたかったことだろうか。さて、皆さんは、どうご覧になるか。