せーじ

ルパン三世 カリオストロの城のせーじのレビュー・感想・評価

4.3
2018年1月19日、金曜ロードショウで鑑賞。
といっても、もう何回も観ているんですけどね。

自分が、アニメのルパン三世シリーズの魅力って何だろうと考えた時に真っ先に思い浮かべるのは、ある意味でのスラップスティックコメディー(ドタバタ劇)的な、アクロバティックで愉快なアクション描写だったりする。
わかりやすい例で言うと、テレビシリーズのアイキャッチでルパンが横から華麗に車に飛び乗ろうとすると、何故か車が壊れてそのまま反対側に投げ出され「アレ?」とルパンが言う"アレ"だ。あのアイキャッチに、いろんな魅力が詰まっているんじゃないだろうか。もちろんちっともリアルじゃないし、今となっては古臭い漫画的なギャグ表現なのだけれども、ああいうどこか笑える演出が自分は大好きだったし、あれはある意味テレビアニメの「発明」だったのではないだろうかと、今にしてみると思う。

とは言っても、原作を含めたルパン三世という作品そのものは、どちらかと言うとダークでダーティな作風だったわけだが、この作品ではそうはせずに、そっち方面、つまり思いっきりドタバタ劇な方面にベクトルを振り切ってしまった(プラス少々の男はつらいよ成分というか、人情話成分が混ざっている気がする)。それが良くも悪くも突出した部分なのだろう。
冒頭から全編、テレビアニメのアイキャッチで起きたことの続きの様な、人間離れしていてありえない動きなのに、面白くて笑えるアクションを繰り出し続けていて、それで面白くならない訳はない。そのうえヒロインは清楚で可愛らしいし、敵はムカつくロリコン野郎だし、お宝の謎は簡単には解かせてはくれないときている。そんな調子で物語そのものを豪快にぶん回して、面白いものにすることに成功しているのは、やはりとんでもないことをやっていると言わざるを得ない(だいぶ強引でありえないことも数多くやっているけど)。
原作に準拠していないので、本作を「こんなのはルパン三世じゃない」という意見が出てしまうのは、ある意味仕方がないことだとも思うが、本作が、テレビアニメにおけるルパン三世というキャラクターの実像を、後世にまで決定的にしてしまったというのは、誰もが認めるところなのではないだろうか。

その後の様々な宮崎駿監督作品特有のキャラクター配置や「主人公が一旦落ちて深淵を知り、再びのぼって舞い戻ろうとする」というストーリー展開の原型が既にできあがっているという意味でも興味深い名作だと思う。
だが、もっともっと、いろんなところからこれを超える作品が出てほしい、観たいとも思うし、出来てほしいとも思う。(少なくとも今の時代ではこれを真似している場合ではないはずだろう)
とはいえ、また放送されたら観るんだろうけどね。
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