円柱野郎

戦争のはらわたの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1943年のドイツ東部戦線。
部下や現場指揮官から信頼されている小隊長シュタイナー伍長の部隊に、西部戦線から新任の大尉が上官として転属してきた。
そりの合わぬ二人だったが、そんな時、ソ連軍の攻勢が始まる。

サム・ペキンパーの戦争映画。
ということでひとたび戦闘が始まれば爆発・砂煙・硝煙弾雨のすさまじいことと言ったらない。
そんな死線をかいくぐってきた小隊メンバーと主人公の交流や、新任上官との反目が積みあがっていった先での終盤の展開はなんだかやるせないなあ。
救った敵・ソ連の少年兵を逃がしたその場でソ連兵に殺されたり、敵陣から自陣に帰還する小隊が上官の策謀で銃撃されたり、そりゃあ精神的にもくるでしょう。
戦場での狂気と言うよりは、戦場という理不尽さが印象に残る話でした。
傷痍療養所で見る幻覚やフラッシュバックの使い方は上手いと思う。

主人公たちは第二次大戦のドイツ兵だけど、ナチではなくて国防軍なのでいわゆる悪党としては描かれない。
人として、軍人としての精神を持っている人物として描かれているのが良い。
そりゃまあジェームズ・コバーンが演じているので渋いしオーラもありますわw
対する新任上官役はアカデミー賞俳優のマクシミリアン・シェルで、鉄十字勲章に執着する信頼しがたい上官を好演してます。
プロイセン貴族としての名誉のために勲章が欲しいという彼の欲は、主人公が戦場で目の当たりにしてきた理不尽の前でどれほどの意味を持つのかという虚しさが作品の通奏低音。
円柱野郎

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