真っ黒こげ太郎

イップ・マン 誕生の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

イップ・マン 誕生(2010年製作の映画)
3.5
そう言えば「八仙飯店之人肉饅頭」のアンソニー・ウォンさんがイップ・マンを演じてたのを思い出したな…。
アンソニー・ウォンさんがイップ師匠を演じてるのは想像できないが…。
(すごい失礼!w)
せっかくの機会だし、見てみるか!!!w

というわけで、今回はアンソニー・ウォン版イップマンの前作に当たる今作をチョイス。



武術好きな少年、イップ・マン(葉問)と義兄のイップ・ティンチー(葉天賜)は父の勧めで詠春拳の道場に弟子入りする。
成長して青年となった葉問は留学先の香港で詠春拳の達人の稽古を受けたりして更に成長していった。
その後、習った技の事で師匠と揉めたり、留学前に出会った女性のチョン・ウィンシン(張永成、後の奥さん)と久しぶりに出会ったりと爽やかな青春模様を過ごす。

そんな中、葉天賜が同門の女性のメイワイ(李美慧)と結婚し盛大な宴が執り行われるがその翌朝、詠春拳の会長が何者かに殺され、殺人容疑で葉問がとっ捕まってしまう!!
更に、李美慧が日本人の命令で葉天賜が会長を暗殺したことを知るのだった…。



ブルース・リーさんの師匠にして、詠春拳の達人である葉問(イップ・マン)の誕生を描いた、カンフー・アクション・映画。

ドニー・イェンさんの「イップ・マン」シリーズとは別に作られた葉問を題材にした作品で、監督は「八仙飯店之人肉饅頭」みたいなエログロホラーから「SHOCK WAVEショック ウェイブ 爆弾処理班」といったエンタメ大作まで幅広く撮ってるハーマン・ヤオさん。
(制作陣の一部やキャストが被ったりしてますが。)


正直、ドニーさんのイップ・マン像が強いので、こっちはどうだろうと思いましたが、思ったより楽しめました。
傑作ってわけではありませんが、そこそこに楽しめます。

今作でイップ・マンを演じるのはデニス・トーさんですが、その動きはドニーさんに負けず劣らずキレッキレ!
他の主演陣の動きも見事で、あちこちで展開されるカンフーバトルはどれも見ごたえアリ。
最後のバトルは少々消化不良感ありましたが、それ以外は文句ナシです。

お話も青春を楽しむイップ・マンや義理の兄が敵になるシリアスな展開はそこそこに楽しめます。
展開もシリアスで女性であろうと容赦のないハードな描写なのは良かったです。


ただ、ドニーさん版「イップ・マン」シリーズに比べるとアクションが全体的に少なめだったり、ドラマの出来が荒かったりするので、あそこまでの完成度には至ってないかなとかんじました。

カンフーアクションはどれも見事なんですが、中盤辺りで主人公のカンフーアクションが殆ど描かれなくなってしまうし、クライマックスの兄弟対決が一番のメインでその後の日本人戦が消化試合だし、そもそもアクションの量が少ない。
ドラマもそれなりには見入るものの、イップ・マンが物語の中心にいる感じがしなかったり(むしろ義兄がメインの様な…。)義理の兄とその妻の扱いがぞんざいだったりと腑に落ちない場面も。
ってか、義兄を主役に据えた方がお話し的にはしっくり来るんじゃないかな…。(そしたら「イップ・マン」の作品である意味が無くなってしまうが…。)


…こうして書くと文句が多くなっちゃいましたが、全編で繰り広げられるカンフーアクションは見ごたえあったし、デニス・トーさん演じるイップ・マンの姿も見事だったので、香港・カンフー・アクション映画が好きなら見てもいいんじゃないでしょうか。

さて、次はアンソニー・ウォンさんの葉問ですが…。
正直、「人肉饅頭」とか「エボラシンドローム」のあの人がイップ師匠を演じるのを想像できねぇ!!!w
(「タクシーハンター」の時は人が良いおっちゃんでしたが。w)