真っ黒こげ太郎

THE MUMMY VS FRANKENSTEIN マミーVSフランケンシュタインの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.3
魔人 対 怪物―――。

まだ誰も見た事のない、
モンスター・バトル・アクションが今、始まる―――。

…はよ始めろや!!!




医学博士で薬学の専門家である、大学講師の青年ヴィクター。
彼は同じ大学の清掃員に死体を集めてもらい、死体蘇生の研究を密かに進めていた。
報酬の事で清掃員と揉めたりしながらも、殺した清掃員の脳みそを死体に移植し、電気を流し込んで死体を怪物(フランケンシュタイン)として蘇らせる!!!!

一方、ヴィクターの女友達でもあるエジプト考古学者のナイラとその同僚達は、”ウセルカラー”なる名の古代の王のミイラを大学内に運んでいた。
王のミイラは大学教授を謎のガスで操って、助手や女生徒を殺害させ、生贄の血を捧げる事で復活する!!!

そんな中、ナイラがヴィクターのヤバい研究に気づいてドン引きしたり、前世の記憶が戻った怪物が「若い別の身体を見つけて作り直せ!」とヴィクターを脅したり、王のミイラがナイラの事をかつて自分に呪いをかけた魔女だと勘違いしたり、ナイラが怪物とミイラ両方に狙われたりして、どったんばったん大騒ぎ!!!

…で、何時になったら怪物(フランケンシュタイン)とミイラ(マミー)は戦うんだ!?
(答えは、ラスト12分前で!!…っておせーよ!!)




禁断の実験で蘇った怪物(フランケンシュタイン)と呪いで蘇った王のミイラ(マミー)が(ラスト3~4分で)激突する、モンスター・ホラー映画。
監督は「Terrifier」シリーズで一世を風靡したダミアン・レオーネ氏。

これまで続けてきたピエロホラー祭りの最後の締めとしてレオーネ監督の最新作をチェックする前に、監督が以前に手掛けたモンスター・ホラーにチャレンジ!
…ネットの評価は滅茶苦茶悪いし、ITN Distribution印だけどな!!!
(因みに原題と邦題でフランケンシュタインとマミーの位置が入れ替わってるのは、トム・クルーズ氏が出演した(そして大コケした)某映画に便乗する為だろう。w)


話としては、イカレ科学者の若者が作った怪物と王のミイラがヒロインを巡って大騒動や殺戮劇を繰り広げる、という分かりやすいお話。
怪物2人に狙われるヒロインが不便で仕方ないが(汗)怪物2体の絡む動機や展開としては自然な作りなのは良い。
ありきたりな話でちょくちょくツッコミたくなるような箇所はあるものの、物語は丁寧に作ってるので話にはスイと入り込めた。


なのだが、本作を見た皆が全員思ってる事を俺も叫ばせてもらうが。

なげーーーーよ!!!!!!!!!

この内容で115分は長すぎる!!!


って事で、この手の映画にしてはやけに尺が長いのだが、それもその筈。
登場人物のドラマ等をやったら真面目かつ丁寧に作りすぎて、話の展開やテンポがカタツムリ以上にノロノロした出来栄えになってしまったのだ。

科学者が死体蘇生の道に進んだ理由を語る件とか、科学者の研究がヒロインにバレる展開とかはまだ話の都合的にしょうがないとしても、大学での講義を何度も長々と見せたりとか、科学者とヒロインと飯食ってるシーンとか、セッ○スシーンを挟んだ後にも関わらず延々とヒロインのイチャイチャを見せたりとか、事件起きた時は刑事が着て長々と事情聴取されたりとか、兎に角無駄なシーンが多すぎる。
この手の映画で主役二人のドラマなんか、必要最低限でいいのに!!!

その所為で怪物2人が目覚めるのに1時間近くかかるし、目覚めた後も相変わらずテンポは宜しくなく、残り30分でようやく事件らしい事件が起き、怪物とミイラが出会い戦うのはラスト12分前で、その戦いも3分ぐらいでアッサリ終わっちゃう始末!!!
時間の配分を思いっきり間違っとる!!!!!!

確かに今作は低予算映画ではあるが、もうここまで来ると予算云々以前の問題だ。
丁寧に話運びしたい気持ちは分かるのだが、こうなると丁寧さも要らんおせっかいだ。

要らんシーンをカットすれば、90~80分で済んだだろ!!!
こういう時にカットや編集を担当する制作会社と編集担当の人!お前ら仕事しろ!!と言わざるを得ない。
何でこんなどうでもいい話だらけの作品でばかり完全版を出すんだよ…(白目)

そんなこんなで、テンポが死に体を通り越して腐敗しまくりなひっどい映画ですが、怪物2人の造形はCGに頼らずちゃんとメイクアップで描かれてたのは良かったし、3~4分だけとは言えそんなアナログな怪物二人がケンカするクライマックスは、恥ずかしながら(笑)チョットだけ楽しめた。
(本当にチョットだけだからな!!期待しちゃダメだぞ!!)

また、間延びした内容で数は少ないとは言え、グロゴアスプラッターな見せ場もある。
脳ミソ摘出や喉裂き、ハラワタ抉り出しやアゴ引きちぎり、鼻穴抉りに顔面解体等、気合の入った残酷描写が展開されるのは素晴らしい。
ここら辺は流石腐っても(暴言)スプラッターなピエロホラーで話題になったダミアン・レオーネ監督だけありますね。


という事で、頑張ってはいるんだろうけど、無駄に話を丁寧ダラダラにやってしまった所為で、結局はダメ映画になってしもうた本作。

話自体は丁寧で手堅く纏まっているし、ワチャワチャや残酷描写等の見どころはある分、私的にはZ級映画の中でまだマシな部類だが、それでも星1~2点台の評価も頷ける出来栄えなので、レオーネ監督の熱心なファン以外にはお勧めできません。

話題の新作等でレオーネ監督に思い入れのある人は、挑戦してみてもいい…かもしれないが、その時は自己責任でどうぞ。

本作を見た後に次回作となる「Terrifier」を見直すと、いかに本作の余分な枝葉を切り落として、観客が見たいモノ(殺人鬼の大暴れと攻防、スプラッター描写)に焦点を当てて、娯楽映画としてのクオリティを上げているかがよく解る。
尺も90分未満で収まってるし、殺人鬼の個性や見せ場となるスプラッター描写や凝った殺害描写に注力するのはこの上なく正しい。

正直、本作は作品としては失敗作と言わざるを得ないが、今作の失敗がレオーネ監督の成長に繋がった…と考えれば、この映画にも存在意義はある…のかもしれない。

最も、その次回作の続編が138分という、本作を凌ぐ超長尺になってるけどな!!!w
評判は高いが、果たしてどうなる事やら。