真っ黒こげ太郎

コヴェナント/約束の救出の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
4.4
たとえ地の果てでも、必ず俺が連れて帰る。

それは、互いの存在を賭けた約束――――。



2018年、タリバンとの戦いが続くアフガニスタン。
タリバンの武器庫を探す任務を受けた米軍のジョン・キンリー軍曹は、アフガン人通訳のアーメッドを雇い、調査に乗り出す。
アーメッドは子供を殺された事からタリバンを裏切り、アメリカへの移住ビザと渡米の為に米軍に協力していた。

アーメッドの転機も相まって武器庫の場所を突き止め、キンリー軍曹率いる部隊によって襲撃作戦を展開する。

が、タリバンが送り込んだ大量の兵士によって、部隊はキンリー軍曹とアーメッドを残し全滅し、逃げるキンリー軍曹も銃弾を受け瀕死の重傷を負う!!!
アーメッドはキンリーを必死に運び、100キロの道を進みキンリーを送り届けるのだった。

7週間後、回復して帰国したキンリーだったが、アーメッドがタリバンに懸賞金を掛けられてしまい、行方不明になった事を知る。
キンリーはアーメッドを救出する為に、アフガニスタンに舞い戻る。
果たして、彼とその家族を救出することができるのか!?



現地通訳の男に命を救われた軍人が、現地に取り残された通訳の男とその家族を救う為に戦いを挑む、戦争アクション・ドラマ。
アクションからサスペンス、クライムやファンタジー等、様々なジャンルを手掛けるガイ・リッチー監督が、シリアスな戦争ドラマに初挑戦した作品。

俺はぶっちゃけ「衝撃の感動作!!」とか「ハンカチだけでは足りない!!」とか「1億%ずっと泣いた!!」とかそういうお涙頂戴なアレコレはひとさじの興味が無いのですが(爆)、最近ステイサムさんのアクション映画で株が上がってきているガイ・リッチーさんが戦争アクション映画を撮ったとなれば見ざるを得ない。

「映画館でドンパチや銃撃戦が見れるぞー!!」と物凄い能天気な気分で鑑賞。
真面目な戦争映画だというのに、物凄い罰当たりですな、俺。w


根幹には今なお続く「アフガニスタン問題」や「アフガン人通訳」に関する問題を扱っているのだが、物語自体は「敵地から必死に脱出したが助けてくれた親友とその家族が現地に取り残されてるので助けに行く!」という話で、精神年齢が小学生レベルで今もコロコロの漫画を買って読んでる様な(!?)俺でも分かりやすい内容で、ストーリーにスッと入っていける作りなのが良い。
ぶっちゃけ「お国の為に!」とか「正義の為に!」みたいな大義名分よりもずっと感情移入しやすいし。

展開はシリアスな話運びだが、上手い編集でテキパキ見せてくれる為テンポは良く、戦闘シーンや帰国させるための旅路もしっかり描いており、飽きさせない。
中盤、敵から必死に逃げながら戦う場面や、軍曹が倒れ通訳の男が敵に見つからないように必死に運ぶ展開はハラハラドキドキの連続。
後半からは軍曹が通訳の人を助ける為に敵地に戻り救出作戦が展開、こちらも激しい戦闘シーンが描かれ、最後まで見ごたえ抜群でした。

役者の演技も良く、特に主演2人の演技はリアルで王道な物語に深みを与えてくれる。
軍曹役のジェイク・ギレンホール氏は友情に熱い男を熱演。
熱く友情を語るその姿は一部の本を書いてる女性層がアップを始めそうだ。(やめい!w)

「置き去りの中で敵地からの脱出劇」や「単身敵地に戻り仲間の救出」、「クライマックスで助けにくる救援部隊」等の要素は何処となく「エネミー・ライン」シリーズを彷彿とさせ、あのシリーズが好きな自分としては好感触でした。
(仲間の救出はVシネマ化した続編で描かれてる。)

戦闘シーンの分量はそこまで多くないが、激しい火薬爆破や銃撃戦がしっかりと展開。
アクションの撮り方も上手いし、クライマックスで展開される一斉掃射や爆撃も弾撃ちまくり、爆破しまくりで破壊力満点。
劇場内で響く銃声や爆破は迫力満点で、戦闘アクション映画としても概ね満足致しました。


という訳で、最低限だけど見ごたえのある人間模様、数は少なくとも迫力を持って描かれる戦闘シーン等、シリアスな戦争アクション映画として存分に楽しめました。
ラストでタイトルである「コヴェナント」の意味もしっかり明かされ、鑑賞後の余韻もスッキリでした。


ただ、ここまで物語がシリアスだと個人的にはちょっと肩が凝る。w
アクションや友情物語としては十分面白いので、もっと肩の力の抜けたドンパチアクションにしても良かったんじゃないかな…。
でも、そしたら根幹にある社会派な部分が台無しになりそうだから、難しい塩梅ですな。
「肩の力の抜けた~」云々に関しても自分が普段からマッチョヒーローのコマンドアクション映画ばかり追ってるからそう思うだけで、そんな内容になったら一気に感動が台無しになりそうだ。w
(特に年末年始は火薬ドンパチ系コマンドアクション映画を求めて発狂してたからなぁw「エクスペンダブルズ」新作や何本か公開されたアクション映画、アマプラにあったチャック・ノリスさん主演映画のお陰で落ち着くことができたが。
最近ではデビッド・リーチ監督の激しいアクション映画も公開予定と聞いて一安心。)


最後の最後で何がなんやらな文章になってしもうたが、戦場の熱い友情物語としても、シリアスな戦争アクションとしても見ごたえ抜群な快作なので、近くでやってるようなら是非劇場へどうぞ!!!