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風と共に去りぬの10000lyfhのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
1.5
南北戦争前後の激変期の南部を生きた女性の肖像。

個人的に、魅力を感じにくい映画。まず、人物たちに好感が持てず、感情移入もできない。何より、主人公スカーレットが人間としてひどい。嘘つき/嘘泣き/看護師としての職務放棄/ゴールドディガー/愛のない結婚を 3回しながら好きなアシュレーにいつまでも固執/人を平気で利用し自分を慕うメラニーすら裏切る/ブラック企業経営者さながらに労働者を酷使など、枚挙にいとまがなく、時代設定の 1860年代でも映画の制作された 1930年代でも、このような女性が魅力的とされたとは信じがたい。男性の主役レットも、前半の余裕あるカリスマモテ男が、一時的に惚れたスカーレットに対する征服欲からの結婚後に酒乱 DV 夫(プラスして動物虐待も)に成り下がる。彼はスカーレットの二回りくらい上の設定だろうが、ルックス的にもお似合いのカップルではない。対照的に、夫アシュレーに言い寄り続けていると知りつつもなおスカーレットを慕う、痛いほどに純情で素朴なメラニーにはシンパシーを感じた。

ストーリーとしては、4時間の長尺でも足りないと感じさせるほど多くの出来事が詰め込まれ、話のテンポ自体は早く退屈はしない。一方で、あたかも本の目次を読んでいるかのような表層的説明的な描写もあり、物足りなさも(例:最初の夫チャーリーと婚約したシーンの次で、結婚済みで戦死の知らせが来る、など)。また、前半に、映画全体のクライマックスである南北戦争が勃発し終結するので、後半の戦後復興期で盛り上がりを欠く(脚本執筆の学び:戦争と戦後復興を、一つの映画で両方、描こうとすると、クライマックスが先にきて後半が退屈になる)

良かった点としては、野戦病院と化したアトランタの駅のロングショットと、続くアトランタ炎上シーン。テーマ曲のメロディも、映画音楽史に残るものの 1つ。この時代を南部の視点で描いた実録的な価値もありそうで、今なお名作とされる理由の 1つだと思う
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