劇場での新作鑑賞が出来ない分、好きな作品をもう一度見直して感動しているこの頃…
米ソ宇宙開発が過剰に競われていた1960年代の宇宙開発の裏側を描いた本作。
マーキュリー計画に選ばれた7人の宇宙飛行士達と音速の壁を初めて破った孤高のテストパイロットチャック・イェーガーの"right stuff=正しい資質"を描いた作品。
音速を破る事を競い合ったテストパイロット達が、次々と宇宙飛行士へ志願する中、イェーガーは、モルモットになる事を拒絶し、テストパイロットにこだわり続けます。
厳しいテストと訓練の上、「マーキュリー7」に選ばれた宇宙飛行士達は、自分達より先にチンパンジーが宇宙に行った事で複雑な心境になり、
自分達の存在意義が揺らぎ、政治家やNASAの技術者達の思惑で動かされる事を拒否し、自分達の"正しい資質"に従い宇宙へ挑戦します。
宇宙飛行士達は、それこそ、アメリカの英雄と称えられていき、砂漠の基地で一人テスト飛行に挑戦し続けるイェーガーは、一見すると、ただの時代に遅れた男のようにも見えますが、宇宙飛行士達は、誰が一番のパイロットであるかを知っています。
己の"正しい資質"に従い、挑戦する姿は、宇宙飛行士だろうとテストパイロットだろうと同じで、
見ていて胸が熱くなっていきました。
でもね、強がっていたけど、イェーガーは宇宙へ行きたかったんだと思います。
彼は、腕はピカイチだけど、学がない事でNASAの候補から除外されてましたから…
宇宙飛行士達の記者会見をバーで見ているシーンのサム・シェパードの切なさや悔しさが入り混じったようなイェーガーの演技は素晴らしいです。
ラスト、イェーガーは、戦闘機による当時の最高高度を更新した時、一瞬、宇宙を垣間見ることが出来た時は感動しました。
本作は、トム・ウルフの「ライトスタッフ」というドキュメンタリー小説がベースになっていて、小説も夢中になって読んだ覚えがあります。
宇宙飛行士をエド・ハリス、ランス・ヘリクセン、スコット・グレン、フレッド・ウォード、デニス・クエイド等錚々たるメンバーで、実に渋過ぎる配役です。
今作一発でファンになり、以後、彼らが出る映画は、何かと追っかけて見ていますし、彼らが出ているなら大丈夫だろうと、私の中で、作品評価のリトマス試験紙的な役割ともなっています。
後、スンゲー若いジェフ・ゴールドプラムも出るので要注意。
本作を見た後に、「アポロ13」を見るとアメリカの宇宙開発をより深く理解する事が出来るので、二本とも長い作品ですが、繋がりが良く分かりますし、ライトスタッフの意味もそのまま引き継がれ感動が深まります。
また、"right stuff=正しい資質"という意味での繋がりであるならば、イーストウッドの「スペース・カウボーイ」もより感動が深まりますし、番外編ではありますが、ブルース・ウィルスの「アルマゲドン」も今作を見た後に見るとまた違う感動が湧き上がりますので、一度試してみて下さい。