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父と暮せばのHKのレビュー・感想・評価

父と暮せば(2004年製作の映画)
3.7
U-NEXTの配信を観賞。3度目の挑戦です。
実は過去2回はどうしてもセリフが聞きとれず、冒頭10分ほどで断念。
いくら音量を上げても、たまにこういう邦画(または洋画の吹替)があります。
本作はセリフが方言のせいもありますが、まあ主たる原因は私の難聴なんですが。
今回は補聴器とヘッドフォンを装着の上、ボリュームをかなり大きくしてしてようやく聞き取ることができました。

しかし、こうやって観て(聴いて)みるとセリフの他にも、それまで無音だと思っていたシーンで虫が鳴いていたり、かすかな物音がしていたりと、ふだんの私の耳が音情報をかなり聴き逃していることがよくわかります。
洋画の場合は字幕があるから、あまり音量も上げずに見ていますが、実はかすかに流れる音楽や効果音をかなり聞き逃していると思われます。
やはり音響設備の整った劇場で観るにこしたことはないんですけどね。
というか、耳が悪くないにこしたことはないんですが。

で、本作は井上ひさし原作の戯曲の映画化。
戦後3年後の広島が舞台で、原爆で生き残った23歳の女性と、その娘が心配で幽霊になって現れる父親との、なんとなく懐かしくも切ないやりとりが描かれます。
監督は『竜馬暗殺』『TOMORROW/明日』などの黒木和夫。

主演は宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信の3人ですが、浅野の出番は少ないので、もう娘と父を演じる宮沢・原田の二人芝居と言っていいでしょう。
もうこれはまるで舞台。
あえて無理に映画ならではの手法に置き換えず、出演者の演技を最大限に活かした自然な演出で、あらためてこの二人の演技の確かさと実力が伝わってきます。

この頃の宮沢りえから誰が大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のふてぶてしい役を予想できるでしょう。
それに対して原田芳雄。ずいぶん昔TVの深夜映画で下町の小汚い質屋が出て来たので、こういう店にはドテラ着て毛糸の帽子かぶった原田芳雄なんかが店主で居たりするんだよな~、なんて思って見ていたら、知らない映画なのに本当にそんな風体の原田芳雄が出てきて驚いたことがあります。
こちらはもはや定番のイメージと言いましょうか。
地味な作品ですが、本作の2人は実にいい感じでした。
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