マヒロ

箪笥<たんす>のマヒロのレビュー・感想・評価

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)
3.0
(2024.31)
父に連れられ、病院帰りで久々に家に帰ってきたスミとスヨンの姉妹は継母であるウンジュに出迎えられるものの、冷たい態度であしらい早々に自室に引き上げてしまう。母が亡くなって以降心を閉ざしていた姉妹はウンジュとも打ち解けられないままだったが、緊張感の続く家の中では次第に奇妙な現象が起き始める……というお話。

韓国の古典ホラーの映画化らしく、主な舞台となる古ぼけた屋敷の湿っぽい不気味さはいかにもオールドスタイルといった感じの古き良き怖さがある。シーンごとに色味が統一された画面作りも美しく、ホラーでありながら端正で整った印象すらあって良かった。

こちらを煙に巻くような異様なことが次々と起こり、ある時点でその謎が明らかになると点と点が繋がるといういわゆるドンデン返し系。なかなか尻尾を掴ませない物語の不可解さにゾクゾクさせられるような感覚があるが、正直その真相が分からん状態がちょっと長いなと感じてしまい、途中で興味が途切れてしまった。こちらの推測を欺くようなミスリードも多く、スミとスヨン、ウンジュそれぞれの真実が分かった瞬間は確かに驚きはするんだけど、よく考えるとそのミスリードのために設定を凝り過ぎているようにも思える。恐怖描写もJホラーっぽい不気味さがあり悪くはないんだけど、なくても話自体は成立するような取ってつけた感じがあり、無理やりホラーっぽくしてるような気もした。
ストーリーやホラー描写、演技や演出など各々の要素は悪くないんだけど、どうもそれぞれがうまく噛み合っていないような居心地の悪さを覚える作品だった。原作とはかなり展開を変えたりしているらしく、そこのすり合わせのまずさがちぐはぐな印象の原因なのかも。
マヒロ

マヒロ