まちゃん

裏窓のまちゃんのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
4.2
主人公・ジェフはカメラマン。取材中の事故で足を骨折して療養生活を送っている。身動きの取れないジェフは退屈しのぎに隣のアパートの人々の生活を覗いていた。そんな人々の中に喧嘩の絶えない夫婦がいた。ある日、ジェフは妻の姿が消えた事に気付く。怪しげな行動をとる夫。ジェフは殺人を疑う…。覗きとは背徳的なテーマだが暗さは感じない。アパートの描き方が人々の日常生活のショーウィンドウの様に描かれており、好奇心を刺激する楽しさを感じさせる作品になっている。生活一つ一つにストーリーがありそれらを結びつけながら物語を進めて行くアイデアは素晴らしい。サスペンスとしてこの作品の秀逸な点はジェフの主観ショットで統一されている所だと思う。身動きの取れないジェフは目の前の出来事の傍観者でいる事しか出来ず、観客と全く同じ立場だ。自分の代わりに殺人疑惑の捜査をする恋人・リザをハラハラしながら見守る事しか出来ないジェフ。その気持ちは観客と同化して高いサスペンス効果を生んでいる。ハラハラさせながらもヒッチコックらしいユーモアと華やかさに溢れてエンターテイメントとして純粋に楽しめる。流石の名作だった。
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