馬井太郎

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンの馬井太郎のレビュー・感想・評価

3.8
追う者追われる者、どこかで、いちど、遭遇させる、というアクション・サスペンスもののシナリオ作りの基本がある。
観る者だけが知る優越感とスリルとでスクリーンに吸い込まれてしまうわけだ。
両名とも、そうとは知らずに顔を合わせ、道を訪ねるとか、世間話だけで、何事も起こらず、分かれていくパターンも多いが、ここでは、追いかけるFBI捜査官:トム・ハンクスのほうが、追われるディカプリオに、まんまと騙されてしまう。「秘密検察(警察?)局」と聞かされて、ハンクスはちょっとばかり首を傾げるが、ディカプリオのテンポと芝居に負けてしまった。実に爽快である。こんな場面が満載なので、広義のユーモア映画だ、と自論する。映画のポスターを見てほしい。まさしく鬼ごっこのように、滑稽ではないか。

ディカプリオの甘いマスクに多くの女性がいかれてしまうなかで、エイミー・アダムスだけは違った。成り行き「結婚しよう」となって、彼女の家で両親と一緒の夕食に招かれることになる。話がすすむなかで、卒業大学が父親と同じ、先輩後輩の関係であることになってしまう。喜ぶのは、エイミーだ。何という因縁だろうか、わたし達って。・・・と、ストーリーは、急展開していく。

眼を見張るなかでも、色彩とライティングの美しさには、またしてもうならせられてしまう。ホテルの天窓からの太陽光をはじめ、いたるところに、斜光・逆光の極意技がみえる。(極意技、とは、ちょい、オーバーかも?)

監督:スティーブン・スピルバーグ、「激突」が映画デビューとされているが、テレビ「刑事コロンボ」シリーズの第三作目「構想の死角」が監督としては処女作ということだ。以後、その活躍ぶりは、ここで云うまでもない。

エイミー・アダムスは、「ダウト~あるカトリック教会で~」(メリル・ストリープ他)で、シスター役出演していること、ご存知の方も多いと思うが、ご参考までに、書き添える。