とりん

トムボーイのとりんのレビュー・感想・評価

トムボーイ(2011年製作の映画)
3.8
2023年63本目

引っ越し先の土地で、名前を聞かれた際に咄嗟に"ミカエル"と名乗ってしまった女の子ロールの一夏の出来事が描かれている。
観ている限り性同一性障害とかいうわけではなさそうで、ほんと何気なく言ってしまった男の子の名前から、男の子のフリをしてしまっているように思えた。

男の子になりきるというのはなかなかなもので、男の子たちに混ざってサッカーをやり、その際は上半身裸になって唾を吐いたり、水辺に遊びに行った際は、女の子用の水着を切り取って海パンにし、さらに粘土でパンツに膨らみを作るという徹底ぶりだ。
こうなると若干性同一性障害なのかなとか思ってたけど、ミカエルの表情とか観てるとそうではないんだろうなというのがわかる。
リザとのやり取りとかは、仲良さげに見えつつも、行為に対しては戸惑いが含まれてたから。

めちゃくちゃ面白いとかそういう類の作品でもないけど、その丁寧な描写に惹きつけられる。
「秘密の森の、その向こう」でもそうだったが、セリーヌ監督は子どもたちを映し出すのが本当にうまい。ありのままでリアルに感じるし、表情ひとつでいろんなことが読み取れる良い描写が多すぎる。それは子どもたちの演技も上手いのもあるけれど。

ちなみにトムボーイとは、おてんばな女の子、ボーイッシュな女の子のことを意味するらしい。
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