kuu

イキガミのkuuのレビュー・感想・評価

イキガミ(2008年製作の映画)
3.6
『イキガミ』
製作年 2008年。上映時間 133分。

2005年に『週刊ヤングサンデー』で連載開始以来、衝撃的な設定や世界観で大反響を呼んだ同名原作の映像化。
政府発行の死亡予告証、通称“逝紙(イキガミ)”を受け取った者が、残された24時間をさまざまな思いで生きる姿を描く。
イキガミ配達人の国家公務員を『ワルボロ』の松田翔太(父ちゃんの松田優作の雰囲気出始めたころかな)が演じるほか、塚本高史、成海璃子、山田孝之ら実力派の若手が集結。

1000人に1人の確率で若者を選び命を奪う『国家繁栄維持法』が存在する世界では、国民の生命価値を高めることで社会の生産性を向上できると信じられている。
政府より発行される死亡予告証は通称『逝紙(イキガミ)』と呼ばれ、それを受け取った者は24時間以内に死ぬ。
厚生保険省の国家公務員である藤本(松田)はイキガミの配達職務を名誉ある仕事として遂行しようとするが。。。

18歳から24歳の市民を対象に、1000人に1人の割合で、あらかじめ設定された日時に爆発するナノカプセルを注射する『国家繁栄維持法』を政府が施行したディストピア社会を舞台にした作品です。この法律の背景には、国民が自分が不運な人間になるかもしれないという恐怖を常に持つことによって、より人生に感謝し、人生を最大限に生きることができるという考えがある。
これは、日本の出生率の低さと自殺率の高さの問題に対する単純な(イカれた)解決策。
『1984年』のように、法律に違反する者は適切な処置を受ける『思想犯』もあり、反対意見を封じ込める洗脳のような処置がとられることもある。
全体的に隠蔽体質があり、問答無用で起こるべくして起こっていることなんかな。
今作品で気に入ったのは、設定は不条理なのに、そう云う法律があったという前提ですべてが筋が通っていることです。
生け贄にされた人は、24時間前に“逝紙(イキガミ)”を受け取る。その24時間の間に、食事、旅行、娯楽などの特権が与えられ、遺族には多額の補償金が支払われる。しかし、そのような遺産は、予告後に報復のために犯罪を犯すと没収される。
主人公は『国家繁栄維持法』を扱う政府機関で働き始め、死亡通知を出すようになる。
恐らく
権威ある、名誉ある
仕事なんやろな。
今作品は、彼が送る3つの通知と、通知を受けた人々が人生の最後の24時間をどのように過ごすかを描いていました。
予想通り、主人公はこの法律全体とその扱い方について考え直すことになる。
そうなるわなぁ。
今作品の監督とプロデューサーはなかなか良い仕事をしたんちゃうかな。
感動的に語られ、要所要所で雰囲気がガラッと変わるし、マジで2回泣いてもた。
わざと涙を誘うような演出と云えるかもしれへんけど、今の小生には効果的でした。
音楽は少ないながらも、とてもよく活用されており、ドラマを盛り上げていたかな。
キャストは、個人的には嬉しいかな。
と云うのも、主演の松田翔太は、惹きつける磁石のような存在(松田優作のあの鋭い瞳を受け継いでる)やし、テレビドラマ向きではなく、映画向きなんかなぁって感じた。
彼のこの役ではとても自然で、エエ演技を見せてくれたかな。
イキガミを受けた俳優とその友人・家族たちの多くが説得力のある演技をしていた。
山田孝之と成海璃子は後半まで出てこなかったし、完全に意表を突かれたかな。
人生について考えさせられる映画ですが、決して安っぽくはなかった。
法律がもたらす直接的な影響だけやなく、友人や家族への影響、そして人は本当に最期の瞬間まで精一杯生きるのだということが描かれていました。
演技、演出、キャスト、音楽、ストーリーすべてにおいて悪くはなかった。
最後に続編の可能性を示唆しているように感じたけど、なさそうやなぁ多分。
kuu

kuu