ターセムシン監督作
「石岡瑛子展血が汗が涙がデザインできるか」に行ってきたのでこの機に鑑賞。
お伽話と現実世界がクロスしていく、というストーリーは後の「ライフオブパイ」と通じる構造。この作品が映画史的に見ても一際輝いている点はやはりお伽話の誇張された、絵本の中にしか存在しえなかった世界を圧倒的なまでのクオリティで映像化してしまったところだ。
やはりその成功に深く起因したのは石岡瑛子の魅力的な美術だろう。西洋と東洋のモチーフを融合させた衣装デザインは、他にはない斬新さを持ちながらどこか懐かしさと親しみを感じる。また、絵本的な誇張をしたカラフルでフィクショナルなデザインではあるのだが、それでいて安っぽくならず気品とリアリティを絶妙なバランで保っている。まさに神業。
この越境的な文化の邂逅というデザインは石岡英子がPARCOの広告を担当していたときから探求し続けた一つのテーマだった。
またロケ選びが秀逸。このシーンはここでしかありえないとさえ感じるほどのシーンとロケのマッチング。広角でシンメトリックな画面構成も素晴らしい。
ここまで映像美に偏った作品なのに、その芸術性が評価されていないのはストーリーが安っぽかったからだろう。物語は結局分かりやすい娯楽性の高いハリウッドの型にすっぽりと収まってしまう。クライマックスの展開はお伽話とはいえかなりチープ。
あとメイキング見てると子役の演技指導が酷い。泣かせるシーンの裏で何度もテイク取ってキツいこと言ってガチで泣かせるっていうのは本当に良くないハラスメント。