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危険を買う男のHKのレビュー・感想・評価

危険を買う男(1976年製作の映画)
3.5
ジャン=ポール・ベルモンド傑作選の3本目は本作をセレクト。
本当は全部見たかったんですがスケジュールの都合で私はこれがラストです。

監督は『相続人』でもベルモンドと組んだフィリップ・ラブロ。
音楽も同じく『相続人』や『リスボン特急』『カリブの熱い夜』を手掛けたミシェル・コロンビエ。
この音楽がカッコよかったのが観たかった理由のひとつでもあります(昔、FMで関光夫氏の映画音楽番組をよくエアチェックしてました)。
コロンビエは当時ジャズ・フュージョン界でも人気のアーティスト兼プロデューサーでソロ・アルバムも出したりして私もLPを持ってました。

本作のベルモンドは警察では対処しきれない事件を政府から高額な報酬で請け負う“ハンター”と呼ばれる一匹狼。
複数の犯罪が交錯するシナリオですがバランスに難あり。途中でメインとサブの事件の比重が逆転してしまって混乱します。

この時期のベルモンド作品はもうストーリー云々よりスターであるベルモンド自身の存在を楽しむと割り切って観た方が良さそうです。
でも出てくる殺し屋たちはチョイ役でもへんなクセがあったり、年寄りと若者のコンビだったり、銃もいろいろだったりと味があり、フレンチ・ノワール特有のアナログな人間臭さは楽しめます。

本作では女優が全く絡んできません。ラブシーンはいらなくても美人女優が出てこないのは減点対象でしょうか(そういえば先週観た『恐怖に襲われた街』もその点は控えめでした)。
フリードキン版『恐怖の報酬』に出ていたブリュノ・クレメールが印象に残る悪役っぷりでした。

今回の傑作選ではもう一本未見だった『ムッシュとマドモワゼル』が見れなかったのが心残りです。
さあ傑作選第2弾はどんなラインナップで来るでしょうか。
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