ろ

シンドラーのリストのろのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.9

「これは ”善” のリストです。
生命のリストです。この紙の外は死の淵です」


1回目:授業時間の都合で後半観れず・・・
2回目:図書館で借りたDVD、後半のみ再生できず・・・

そして今回、ゼミの発表に備えて鑑賞!
ちゃんと全編再生出来て良かった!!!
いや~~本当に素晴らしい!\(^o^)/
特に初鑑賞の後半!
感情がかき乱されて、感動が押し寄せて・・・。
鳥肌が立ちました( ;∀;)



ドイツ人実業家シンドラー。
彼は戦争を利用し金儲けをしようと琺瑯容器工場を立ち上げる。しかし、ユダヤ人迫害を目の当たりにした彼の心境は徐々に変化し・・・。


胸に突き刺さる場面の連続。

1943年3月13日 ゲットーの解体
パンに宝石を詰めて口の中に隠す家族。
ベッドの下、ピアノの中に隠れる子ども。
下水道に逃げ込む若者。
ユダヤ人のカバンの中身をばらまき、追い立てる軍人。
家族と引き離される苦しみと混乱。
「一体私たちはどうなるのだろう・・・」
不安、恐怖、緊張感が走る。



「戦争は常に人間の最悪の部分を引き出す」

戦争を利用して一儲けしよう。
賃金の安いユダヤ人を雇おう。
シンドラーは自分の利益しか考えていませんでした。

しかし、ゲットーの解体を目撃した彼の心はざわつく。
さらに冷酷なSS将校アーモンの登場により、彼は自分自身を見つめ直す。そこからシンドラーの行動がどんどん変化していきます。


「力とは人を殺す正当な理由がある時に殺さないことだ」

シンドラーとアーモン。
2人は似ているけれど、対照的なキャラクターとして描かれる。

アーモンは非常に人間らしい。
自分の衝動が抑えられない。
自分がやりたいことを伸び伸びと出来ていない故の凶暴性、なりたい自分になれていない葛藤がある。
しかしシンドラーに憧れ、見習ってみる。
彼のように生きたいと思う。

アーモンは理由なく人を殺す。その容赦ない行動から人々に恐れられている。でも、私は精神的に抑圧されているアーモンが不憫に思えて、なんだか憎めない。



戦争が激化。工場も閉鎖せざるを得なくなる。
労働者たちもアウシュビッツ送りになるのか・・・と不安が漂う中で交わすシュターンとの会話。
「いつかこの戦争も終わる。いつか君と一杯飲もうと・・・」
「いま、飲みましょう」
自分には帰る故郷もない。
生き残れるか分からない。
もはや死ぬのも時間の問題だ。
シュターンの訴えかけるような、涙をいっぱいためた目がとても力強い。


シンドラーの演説。
「私に感謝する者もいるが、自らに感謝しろ。シュターンに感謝を。死の前で勇気を見せた仲間に感謝を」

そして後悔。
「努力すればもっと救えた。あともう一人救えたのに」


ラスト。シンドラーの墓石に演者と実際にシンドラーに救われた人々が石を置いていく場面で、また感動が押し寄せる。心が震える。これは本当に素晴らしい演出だなぁと驚かされました。


エンドロールでも息がつまるぐらい。
ジョンウィリアムズの音楽に浸る。
(パールマンのタンゴも、ものすごく好き)


あっという間の、しかし充実した3時間。
何度でも何度でも鑑賞したい1本。



(記録)

私は戦争映画が大好きなのですが、「なぜ戦争映画に惹かれるのか」今回初めて考えました。

なぜ定期的に観たくなるのか。
それは生命力で溢れているから。

自分は病気のせいで憂うつな気分になって、この世の中から逃げたい、死んでしまいたいと思うことがある。けれど、戦争映画を観ると、そんな甘い考えではダメだとハッとさせられる。

戦場で戦う兵士、今作に登場するユダヤ人には命の期限がある。「自分はあと何日生きられるだろう。明日殺されるんじゃないか」迫りくるタイムリミットに押しつぶされそうになりながら生きている。そんな彼らに比べて、私には命の期限が実感できない。

戦争映画は彼らの生きた記録だ。
観ていると「自分はまだあれもしたい。これも出来ていないのに死ねるわけがないじゃないか」生きる意欲が湧いてくる。

戦争映画には死の恐怖がつきものだけれど、それ以上に生命力が凝縮されている。私はそれを感じて励まされて、明日も頑張って生きようと思える。
ろ