久しぶりに観たので、投稿し直し。
ホークスによるスクリューボールコメディの一つで、はやいテンポで目まぐるしく出来事が起こる。
キャサリン・ヘップバーン演じるスーザンの破天荒ぶり、その自己中心ぶりにはやはり辟易してしまうが、この作品全体で観て、彼女の役割の大きさに気づいた。
この作品が多くのフェミニストから称賛を得るのもわかる。
スーザンというこの女性キャラクターは、「女性だからこうあるべき」という型を破っているからだ。
それに対してケイリー・グラント演じるデイビッドは、順風満帆なはずだった人生を、スーザンによってめちゃくちゃにかき乱される。
つまり、男性としての優位性が失われていくのだ。
デイビッドが女物のバスローブを着て、スーザンのおばと鉢合わせてしまうシーンなんて傑作である。
男性としてのプライドなんてものはそこにはない。
そしてケイリー・グラントがコメディ作品だと、やはり特に生き生きしているなと思う。
研究のための骨を犬に奪われてしまって、その行方を突き止めるために必死なシーンは特に笑える。
スーザンと彼女のおばたちと食事中なのに、犬が部屋から離れると、彼を追いかけてまた戻ってくるが、離れるとまた追いかける…。
その繰り返しがしつこいようだが、デイビッドの必死さが、犬の無意識の気まぐれによって、彼の滑稽さが際立つ。
ストーリーとしてはハチャメチャなところもあるが、人物たちの息のあった演技、動物との見事な掛け合い、そしてホークスによる緻密に計算されたであろう演出と構成が素晴らしい。
怒濤の約100分を必死に食らいつきながらも、肩の力は抜いたまま楽しく観ることができた。