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エメラルド・フォレストのMOCOのレビュー・感想・評価

エメラルド・フォレスト(1984年製作の映画)
4.0
「我々の子供達にあなたが我々の為にした事を教える。
 あなたは我々の心と夢の中に生きている・・・」


 アマゾン熱帯雨林でダム建設に従事しているアメリカ人技師ビルは、妻子を建設現場に連れて行き7歳の息子トミーを先住の部族に拐われてしまいます。
 10年後現場に残されていた矢の羽根から、外界と交流がない部族(目に見えない人々)がやっと浮かび上がり、ビルはジャングルの奥深く部族を探しに向かうのですが、ビルは別の部族(獰猛な人々=人食い人種)の襲撃を受け大怪我を負ったところで裸の若者に出会います。彼は儀式で炊いた薬草を吸い(コカイン?)、鷲のなかに入り込み空を飛び貴重なエメラルドが落ちている川を見つけ、エメラルドを採りに川にきていたのです。彼はエメラルドを粉にしてそれを体に塗り、緑の保護色として森林に溶け込んで活動する幻の部族の若者だったのです。
 ビルはひと目でトミーと気がつき、トミーは「トメー」と名乗りビルに部族の言葉と英単語で「父が助けてくれるから父の所へ行こう・・・。あなたは夢で見る人、あなたはダディ」と話します。

 トメーは部族の長ワナディに育てられていました。

 意識を取り戻したビルにワナディは「この世界のふちで狩りをしていた時、森の光が目に見えるトメーが現れた」と語りアメリカ人を「おじいちゃんの木々を噛んで倒す白蟻の人々」と呼びました。

 回復したビルは家族のもとへ帰ろうとトミーを説得するのですが断られてしまいます。トメーは功績を認められカチーリとの結婚が認められ、ビルは再び世界のふちへ送り届けられます。
 トメー達が部落に戻ると部落は「獰猛な人々」に襲われカチーリら若い娘達は拐われ売春宿に売られていました。

 アマゾンの開発は「獰猛な人々」の部落を奪い、悪どいアメリカ人との交流で自動小銃を手に入れ連鎖的に悪いことを引き起こしていたのです。
 トミーは世界のふちの向こうに住むダディに助けを求めに行くため薬草を使い、鷲と同化し記憶を頼りに街を飛び、ビルのアパートを見つけビルに助けを求めに行きます。
 ビルや、元「コウモリの人々」の協力を得て、部族の女たちを奪還したトメーに「ダムが完成すると、部族の生活は破壊されてしまう。」とビルは話します。トメーは「カエルが鳴くと雨が降る。沢山のカエルに頼んで、ダムを押し流す」と答えます。

 やがて沢山のカエルが鳴き始め大雨になり、ビルはトメーのために10年がかりで完成にこぎつけたダムにダイナマイトを仕掛けるのですが・・・。


 ジョン・プアマンがアマゾン開拓の自然破壊を批判して製作した映画です。

 緑の失くなる開拓は「目には見えない人々」の保護色を無意味にしてしまい彼らの世界のふちは勝手にどんどん近づいてくるのです。
 襲撃で老人を失い少数になった若い部族は更に森の深部に移って行くしかないのです。
親子でありながらもう会うことはできないのです。「心と
夢の中に生きている」存在になってしまうのは悲しい現実です。

 トミーの誘拐が静かに、一瞬で行われたのは部族がエメラルドの緑を体に塗り保護色にしている「目に見えない人々」だからです。7才からの10年を部族の子供として育った「我が子」を連れて帰りたい親の気持ちと、部族に残りたい子供の気持ちが余りにもあっさり描かれていることが残念です。
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