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エクストリーム・ジョブのMOCOのレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
4.5
「マ・ポンパル刑事は柔道の代表。キム・ヨンホは海軍の特殊部隊出身、人を殺したという噂がある。チャン・ヨンスは元ムエタイのチャンピオン、象の首も一蹴りで折る女だ。ジェフンは忍耐強い野球部、コ・サンギ班長は20年の間に凶悪犯に12回も刺されたがまだ生きてる。ゾンビと呼ばれた男・・・」


 コ・サンギ班長の麻薬捜査班は、いつも失敗ばかりのどこか間の抜けた5人の集まりで、解散寸前となっています。
 うだつが上がらないコ班長は、同期の者にも後輩にも出世で抜かされていくばかりです。

 ある日、行方を眩ましていたイ・ムベが街の職業紹介所をカモフラージュしたアジトに現れるのではないかという情報を後輩から入手します。
 コ班長の麻薬捜査班はあの手この手で昼夜を問わず張り込みをし、通りを挟んだ目の前にあるフライドチキン店は閑古鳥が鳴いていることに気がつき、張り込みの拠点として一週間・・・。
 麻薬捜査班はアジトに潜入して隠しカメラを設置する機会を狙っており、フライドチキン店の店主に何気なく尋ねると配達の注文をしてくれるのは唯一向かえの職業紹介所だけなのです。
 5人は大興奮し「今度の配達は私たちにさせてください」とお願いするのですが、この一週間あまりに来店したのは彼らだけという有り様から店主は今日で閉店すると言い出します。

 5人は愕然としながらも何とか店を買い取れないかと考えるのですが、署長にも内緒にしている張り込みのため、予算申請することも出来ず、先の事件の潜入調査がカジノだったためにマ刑事がカモフラージュのために行った「賭け」に捜査費用を注ぎ込んで大負けして費用は底をついているのです。

 コ班長は、麻薬捜査班の存続のため妻に内緒で退職金を前借りしてフライドチキンの店を買い取り、イ・ムベからの宅配注文を待ちます。

 5人は最初のうちは来店客を断っていたのですが、それでは怪しまれるということから、フライドチキンの販売に踏み切ることにします。誰もが調理場担当になりたくないために、各々がフライドチキンを作り品評会を行い一番出来の良いフライドチキンを作った者が厨房担当になることに決まります。
 案の定、とても食べられないようなフライドチキンが並ぶのですが、マ刑事が作ったフライドチキンだけはレベルが高く絶賛されマ刑事は厨房担当になります(マ刑事は選ばれたことに大喜びで何が起こっているのか全く気がついていない)。

 そして万全の体勢で初めてのお客を迎えるのですが注文は予想外の「タレ付きフライドチキン」マ刑事はあわてて唯一作ることのできるカルビのタレを作り・・・。
 
 マ刑事が即興で作ったフライドチキンは「スウォンカルビ味チキン」と名付けられSNSで大反響となり、店は連日大行列の大繁盛店になってしまいます。
 一生懸命の彼等は店の切り盛りに追われ、張り込みそっちのけで商売に没頭し始め、出世遅れのコ班長は今日まで奥さんに何も買ってやれなかったのですが、突然金回りが良くなり・・・。

 5人は店の切り盛りを優先するあまり、イ・ムベと接触する絶好のチャンスを失い初めて本末転倒な事態になっていることに気がつき、客数を減らすために極端な値上げを実行するのですが、高級志向の店となり客足が途絶えることなく店は益々客数が増えていきます。

 署長は署に全く顔を出さない麻薬捜査班を呼び出し、説教をくらわせるのですが、その時待ちに待った宅配の電話がコ班長の携帯に入り5人は説教を無視して店に帰りチキンを揚げて、監視カメラを持ちアジトに乗り込むのですが、店舗はいつの間にか近所のおばさんに購入され
配達に行くのですが、フライドチキンに没頭している間にアジトにしていた店舗は人手に渡っていたのです・・・。


 追い打ちをかけるように、以前TV取材を断られた有名TVテレビディレクターに逆恨みの映像を放送されてしまいます。
 真相(実態)を知った署長は麻薬捜査班に無期限の停職を命じ、コ班長たちはどうせ停職中ならと、フライドチキン店の汚名挽回のために経営継続を決めます。

 麻薬の販売拠店を増やそうとするイ・ムベのコンサルタント、チョンは悪評に苦しむフライドチキン店に店舗のチェーン展開を持ちかけます。
 クビが間違いないコ班長は退職金の回収を目論みチョンの計画に乗ります。
 各地で開店した支店はイ・ムベの麻薬配達基地となり、フライドチキン店は麻薬配達に利用されてしまいます。
 イ・ムベの手下が片手間で作る激マズのフライドチキンと最悪の店員の態度はSNSで叩かれ、コ班長たちは従業員の教育の必要性を感じ密かに店舗の実態調査を始めます。

 各店舗を回るマ刑事は店で何かが起こっていることに気がつくのですが、暴行を受け捕らえられ、刑事であることを知られてしまいます。

 イ・ムベはマ刑事の処分を部下に命じると、大量のヤクを売りさばき国外逃亡を図ろうとします。
 コ班長たち4人はマ刑事の携帯電話のGPS発信を頼りにマ刑事の捜査に向かうのですが、そこはヤクを売ろうとする組織と買おうとする組織がお互いにハメられまいと、30人近い大量の部下が終結しているのです。いつも失敗ばかりのどこか間の抜けた集まりの麻薬捜査班はたった4人でマ刑事を助けようとそこに・・・。

 チョコレートプラネット長田庄平氏の和泉元彌のまねではないのですが「笑た、笑た(わろた、わろた)」久しぶりに大笑いで映画を観ました。年に何本か友達に紹介したくなる映画に巡り会うのですが、これはそんな映画、大いに笑いました。
 それもそのはず、Wikipediaによれば、公開年の2019年には韓国で歴代興行収入1位を記録し、観客動員数は歴代2位となる1,626万人を突破したとあります。
 某映画紹介でフライドチキンの話は予め知っていたのですが、それでも笑えました。
 この映画は、心からおすすめです。
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