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いずれ絶望という名の闇のMOCOのレビュー・感想・評価

いずれ絶望という名の闇(2009年製作の映画)
2.5
「皆が君のことを心配してるぞ」
「警視総監、ハッキリおっしゃったらどうなのですか。
皆、怯えているんでしょう」(麻薬捜査官フランク)
「いや、心配しているのは君の健康のことだ、大変なことにならないかと心配しているのだ」
「悪魔とは食卓を共にしないことです・・・。
 油断は禁物です」


 13分署のマット刑事(ジェラール・ドパルデュー)は相棒のレオン(女性)とパトロールを終え署に戻ると、かっての相棒フランク(オリヴィエ・マルシャル)から電話があり「ダイアモンド13」という伝言があったと報告をうけます。

 マットは次の電話でライブバーに呼び出されステージで演奏するドラマーのアリババが薬物中毒患者だと教えられます。
  末期癌のフランクは「長くて2年半と医者に言われている」と話し、今は麻薬捜査官であると告げ、アリババは外交官と麻薬取引をしていて、犯人グループを一網打尽にする手伝いをして欲しいと話します。
 フランクは「報酬は取引に動く100万ユーロの金の半分、誰も咎められない金を奪って山分けにしよう」と言います。

 マットはフランクに取引現場になる所に連れていかれ「明日ここで・・・」と言われるのですが「聞かなかったことにする」と現場を後にします。

 署にもどったマットは強盗人質事件の現場にかけつけ、ドラッグストアーでの強盗に失敗して人質を盾に逃走しようとする犯人を射殺したのですが、人質になっていたアルノー議員の奥さんから「強引で危険なやり方と暴言」を訴えられることになり停職の可能性が高くなります。

 マットは5年前は妻だった警視カルーン(アーシア・アルジェント)に呼び出されます。若いカルーンは通常ではあり得ない出世をして、いまではマットよりも上の地位にいるのです。
 マットは過去にフランクの要望でマレッティという密告者を撃ち殺したのですが、フランクがマレッティの死体に銃を握らせて正当防衛の証拠を捏造している映像とフランクが麻薬王のラジと親しげに抱き合っている映像を見せられます。
 マットは「停職を回避するにはフランクの不正を暴く協力を・・・」と、持ちかけられ断ります。

 マットが待ち合わせの現場に現れないため、フランクはマットの部署に電話をかけ「始まった」とレオンに伝言を託しアリババを尾行し揉み合いになり、アリババの命を奪い、取引相手の外交官に近づきます。

 レオンはマットが巻き込まれることを嫌い伝言を伝えることをやめ、飛び降り自殺をしようとしている女性の事を伝えるとマットは自殺者の説得に向かいます。

 フランクはさらに外交官と撃ち合いになり複数の銃弾を浴びながらも外交官を射殺します。

 その夜パーで飲んでいたマットは携帯にかかった電話の指示に従い店の前に止めてある車を覗き、惨殺死体となったフランクを発見します。

 フランクの死は町の有力者を慌てさせます。町の有力者は「フランクは自分達を陥れる何かを持っている」と生前から噂していたのです。

 フランクの葬儀を終えるとマットはレオンに銃を預け自ら謹慎の身になります。
 不当に見張られていることに気がついたマットは見張っている男に暴行を加え雇い主が警視総監だと自白させます。

 マットは最近親しくなった女性記者にフランクから送られてきたという書類を見せられ「フランクはマレッティが裏切ることを恐れて殺した・・・」と言われ「書類は今朝送られてきた。あなたにあげるわ」と資料を渡されます。記者は「コピーだけでは何の価値もない」と言うのです・・・。

 マットは麻薬王ラジの部下に拉致されフランクが町の有力者と交流するようになったのはマレッティの死後だったと教えられ「2日以内に消えた麻薬と金を渡さなければ親しくしている女性に危険なことが起こる」と脅され解放されます。

 帰宅したマットはカルーンの訪問を受けフランクの事件の担当になった事を知らされ「フランクは町の有力者を脅かす資料を持っていた」と探りを入れられます。

 死んだフランクもカルーンも警視総監も市長も・・・、町の有力者は全て汚職と賄賂にまみれているのです。カルーンの異例の出世は体を使ったものだったのです。

 マットはフランクの義理父の別荘に忍び込みフランクが空港の駐車場に車を泊めていることに気がつき、車から麻薬と金を取り出しラジと連絡をとり、引き渡しの条件としてフランク殺しの犯人を聞く約束をします。ところが待ち合わせの場所でラジの部下に一斉射撃を受け麻薬と金を持ったまま逃走します。

 マットは自殺未遂の女性を自宅に泊めているために、彼女を遠くにやるのですが切断された彼女の指が郵送されることになり、マットは薬でボロボロになった彼女を救出するのですが・・・。

 マットはフランクが残した手帳にたどりつき、指を切断された女を訪ねるのですが、そこにはカルーンとレオンが駆けつけていて、女性には撃ち殺されていのです。
 そして女性の体内からはマットがレオンに預け、レオンの自宅から盗まれた銃の弾丸だったという知らせが・・・。

 町の有力者達は正義を貫こうとするマットに「空いた席(フランクの立場)に座った方が得だろう」と、半ば拷問の形で説得しマットは頷き解放されます。
 マットはフランクの車で発見した麻薬と金を持ってラジとの待ち合わせの場所に行くのですが、やって来たのはカルーンだったのです。

 カルーンは奪われていたマットの拳銃を持って現れると「銃を受けとれば懲役20年、受け取らなければ私たちの仲間」と言うのですがマットは躊躇わず銃を受けとります。
 カルーンは車に乗り込むとマットを引き殺すために車を走らせるのですが、その時数発の銃声が別の方向から・・・。


 原題『36 Quai des Orfèvres(オルフェーヴル河岸36番地=警察署所在地)』は『あるいは裏切りという名の犬』と邦題が付けられ、
原題『MR 73(拳銃の名称)』は『やがて復讐という名の雨』と邦題が付けられています。
 この映画の原題『DIAMANT 13(ダイヤモンド13)』は『いずれ絶望という名の闇』と邦題がつけられています。
「ダイヤモンド13」が何を意味するのかは分からなかったのですが、二人の間では懐かしい合言葉のようです。ダイヤモンドは硬質なことから「永遠の絆」にも例えられ、13は「不吉な数」として知られています。 映画の中では楽曲のタイトルとして登場しフランクの家で見つけたマットがピアノで演奏するシーンがあります。


 末期癌とわかったフランクはやはりここには身をおけないと悪の道から抜け出そうとしたのか?最初から覆面捜査の為に悪の道にはいったのか?は明確に
はわかりませんでした。
 フランクが手帳に溜め込んだ記録は悪の崩壊させるに十分な資料なのですが、町の有力者達はコピーすら目にすることなく話は終わり、麻薬はマットの手で火葬され、手帳と金は必要とする人の所へ・・・。

 そして・・・
 
 シリーズと言われている3作品は徐々にハードボイルド感を失くして行き、この話の主人公マット刑事(ジェラール・ドパルデュー)の体つきは明らかに重量オーバー、頭は良いようですが打たれ強いだけの男です。
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