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DESTINY 鎌倉ものがたりのMOCOのレビュー・感想・評価

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)
4.0
「僕は決めた。亜紀子を取り戻しに黄泉の国に行く。
 ・・・あの暮らしを取り戻すためなら命をかけても構わない」

「三丁目の夕日」の原作者西岸良平氏の「鎌倉ものがたり」を実写映像化した作品です、主演は堺雅人氏・高畑充希さんのW大根役者。と、言っても堺雅人氏はこういったコメディで魅力を発揮する好きな俳優です。


 作家一色正和(堺雅人)の担当だった出版社のアルバイト亜紀子(高畑充希)は運命の出会いから10歳も年上の正和の住む鎌倉に嫁いできます。
 鎌倉は不思議な町で昼間から河童やお化けなど奇妙な生き物?が横行しているのです・・・。

 
 ある日、一人で留守番をすることになった亜紀子は正和に「絶対に入っては駄目だよ」と何度も念を押された納戸(なんど)に入り偶然古い原稿を見つけます。 そして突然訪ねてきた先々代・先代のお手伝い金(中村玉緒)と楽しく留守番をします。


  金を帰りの江ノ電に乗せた二人はふらっと立ち寄った夜市(魔物たちの市)で近所の老婦人瀬戸優子(吉行和子)に「魔物のものは買ってはいけない」と買い物の注意を聞かされるのですが、亜紀子は見事に騙され魔界松茸を買わされてしまいます。
 実は金も優子も既に他界しているのです。くどいようですが鎌倉は不思議な町で昼間から河童やお化けなど奇妙な生き物?が横行しているのです・・・。

 翌朝、亜紀子の手料理で魔界松茸を食べた正和は幽体離脱する羽目になり、すんでのところであの世に行ってしまうほどの目にあい、味見をしていた亜紀子も正和と同じ様に魂が抜けやすくなってしまいます。

 正和はまだ子供だった頃、学者だった父(三浦友和)が外出する度に、母(鶴田真由)が作家甲滝五四朗のところへ嬉しそうに出掛けるのを知ってしまい、自分は甲滝五四朗の子供ではないかと疑い続けていたのですが、亜紀子が見つけた原稿が甲滝の絶筆原稿だったことで、疑いは確信に変わってしまいます。
 そんな話を正和は亜紀子に話すこともできずにいて二人は口論となり初めて喧嘩になってしまいます。

 奥さん(優子)に先立たれ寝たきりだった男(橋爪功)を迎えに来た死神(安藤サクラ)を見ることができた正和は、死神から教えてもらった『黄泉の国行き』の江ノ電の臨時駅「げんせ」(普段は存在しない駅)を見せるために喧嘩中の亜紀子を連れ出し『黄泉の国行き』列車を眺めながら亜紀子に出生の秘密を告白し仲直りします。


 その頃から一色家に不運なことが起こり始めます。 原因は家に取り憑いた貧乏神でした。
 正和は貧乏神を追い出したいのですが、亜紀子は貧乏神に優しく接し始め「あなた(正和)と一緒に暮らすことができるなら貧乏でもいいのよ」と、嫌われ者の貧乏神に優しく接し家族のように食卓に迎えます。
 やがて貧乏神はもともとお金持ちではなかった正和の家を出て次に取り憑く者のところへ行きます。

 正和が近所の居酒屋“静”で飲んでいた時「明後日〆切で書いて欲しい」という原稿依頼があり亜紀子は 急いで“静”へ向かいます。正和は急いで家に帰り原稿に向かいます。
 原稿の仕事がひと段落し“静”で正和が飲んでいると女将(薬師丸ひろ子)が「先生に良くないものが憑いてる」とお札を貸してくれるのですが、正和が玄関に貼ったお札のせいで亜紀子は家に入ることが出来なくなってしまいます。
 正和に急な原稿の仕事を伝えに行ったあの日、亜紀子は誰かに足を捕まれて転んでしまい魂が抜けやすくなっていた体から魂が抜けてしまったのですが、体を置き去りにしてしまったのです。

 程なくしてあの死神が現れ、亜紀子を「黄泉の国」に連れて行こうとします。 二人は抵抗したのですが、亜紀子が実体化するためのエレルギーは正和の寿命から得ていると知り、亜紀子は「黄泉の国」へ行ってしまいます。

  正和は 死神から「亜紀子は本来の寿命ではなく体さえ見つかっていれば生きていた」と聞かされ亜紀子の体を探し回り、鎌倉署の心霊捜査課の協力で、ついに体を発見します。 亜紀子の体は死んでしまった女性の霊が家族と過ごすために使っていたのです。
 正和は亜紀子の魂を連れ戻すため、復路のない「黄泉の国」への汽車に乗り込みます。
 亜紀子が見つけた甲滝の原稿には「黄泉の国」への行き方が記されていたのです。

 魔界松茸を使い幽体離脱して乗り込んだ列車には偶然あの死神も乗っており、正和は死神に亜紀子の死には天頭鬼が絡んでいると教えてもらいます。

 正和は死神に甲滝の家に連れていってもらいます。甲滝の絶筆原稿にはこの世への帰り方は書かれてていないため甲滝から聞き出す必要があったのです。
 金に教えられた甲滝(三浦 友和)の家には正和の亡くなった母親(鶴田真由)がおり・・・。ところが甲滝も帰る方法は知らず想像力で切り抜けろとアドバイスされるのです。

 黄泉の国に入った亜紀子は天頭鬼に求婚を迫られます。

  正和は亜紀子を探しだします。正和と亜紀子は天頭鬼の言葉から正和と亜紀子は遥か昔から何度生まれ変わっても結ばれ愛し合っていることを知ります。二人の恋愛をことごとく妨害してきたのも天頭鬼だったことも・・・。

 亜紀子を連れ戻しにやってきた正和は天頭鬼から亜紀子を奪い返すと、作家らしい想像力を使い黄泉の国の形を変えながら逃げ出します。
 天頭鬼は二人を追い込み、もう助からないと思った亜紀子は正和を守るために永遠に天頭鬼と夫婦になる誓いを立てようとしたその時、二人を救うためにひとつの茶碗が飛び出します、それは・・・。
 そして・・・。

 作家甲滝は正和の父親なのか?二人は天頭鬼に勝ちこの世に帰ることができるのか?・・・。と、言ってもコメディだけに結果は見え見えです。

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの山崎貴監督がシリーズ修了後に作り上げた監督得意の分かりやすい伏線張りまくり、どこかで観たような映像出まくりで、高度なVFX技術を見せたがり過ぎる不要なシーン出しまくりは気になるのですが、嫌みなく絶対楽しく観れる映画です。

 死神を演じる安藤サクラさんの役作りの上手さと山崎貴監督のVFX技術力の凄さを見せつけられる映画です。
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