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仕掛人・藤枝梅安2のMOCOのレビュー・感想・評価

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)
3.5
「それにしても強い仕掛人だったな」(彦次郎)
「仕掛人として強くとも人として強いとは限らん」(梅安)


 藤枝梅安(豊川悦司)は幼いころ自分を拾って鍼医者にしてくれた津山悦堂(小林薫)の墓参りのため、彦次郎(片岡愛之助)と京へ旅に出掛けます。
  その道中、彦次郎は恨みのある男(椎名桔平)と遭遇します。
 その男は彦次郎の目前で最愛の妻を犯し、最愛の子供とともに死に追いやった当時浪人だった男です。

 きちんとした身なりの武士を見た梅安は人違いを疑い、復讐にはやる彦次郎に「非道を働くような人柄には見えない」と諭すと単独で男を追い、男が偶然悦堂の墓前で手を合わせていたため会話を交わします。

 男は松平甲斐守の家臣・峯山又十郎と名乗り悦堂は亡き父の恩人だと話し、自分には双生の弟がいると話します。
 弟について多くを語ろうとしないことから梅安は彦次郎の仇は弟であると確信します。

  その夜、同じ宿場で宿をとった梅安と彦次郎は峯山の宿に上方の蔓(つる=裏稼業の顔役、仕掛人の雇い人)の白子屋菊右衛門(石橋蓮司)が訪ねるのを目撃します。

 菊右衛門は又十郎から弟の井坂惣市(椎名桔平の二役)の仕掛けを依頼されます。
 梅安の読み通り、井坂は浪人5人を引き連れて京で好き勝手に金や女を強奪し人殺しをする集団の長だったのです。

 菊右衛門は井坂の仕掛けを浪人井上半十郎(佐藤浩市)と師弟の佐々木八蔵(一ノ瀬颯)に依頼するのですが、菊右衛門は井坂一人の仕掛料しか提示できず、取り巻きの浪人の始末を求めなかっためにあっさり断られてしまいます。

 菊右衛門を訪ねた梅安は井坂の仕掛けを依頼され、彦次郎の思いを遂げるために少ない仕掛料で請け負い屋度へ戻ります。

 依頼を断り菊右衛門と別れた半十郎はすれ違った男が菊右衛門に会いにいったのではないかと急いで菊右衛門のところへ戻り「依頼を受けてもいい」と話すのですが「その話はもう済んだ」と言われます。


 梅安は若いころ人妻おるい(篠原ゆき子)と通じていた過去があり、主人に知られてしまい危険を感じたおるいに「梅安に犯された」と嘘をつかれたことで半死半生になるほどの暴行を受けた上におるいから心中を求められおるいを鍼で葬った過去があり、その夫こそ半十郎だったのです。
 半十郎は妻の嘘を知りながらも梅安に強い憎しみを抱いていたのです。

 酒場を後にした取り巻き浪人の2人を仕掛けた梅安と彦次郎は、酒場に乗り込んで来る浪人を待ち伏せするのですが半十郎と八蔵に乗り込まれ、命からがら酒場を逃げ出します。

 残る浪人一人と井坂を狙う梅安と彦次郎は井坂のねぐらで働かされいる子供を味方に汲み置きの水に毒を仕込みます。

 彦次郎は自由のきかない2人の首にロープ巻き、吊るしてゆっくり復讐を晴らします。
 そこへ井上と佐々木が現れ万が一を想定して菊右衛門が仕込んだ浪人が割って入り梅安と彦次郎は屋敷に火を放って逃げ出します。

  菊右衛門に仕掛けの報告をした後、子供を菊右衛門に託し江戸に戻った梅安は彦次郎と別れ、鍼灸の仕事を再開します。

 彦次郎は屋根裏に身を潜め、半十郎と八蔵が梅安のところへやって来るのを待つ日々が続く中、2人は「今夜必ずやって来る」という予感を感じます。そしてその夜・・・。


 物静かな1に比べると井坂惣市(椎名桔平)、井上半十郎(佐藤浩市)、佐々木八蔵(一ノ瀬颯)の浪人が登場する2は立ち回りも多く動きが感じられ、迫力もあります。1同様大根役者を露呈するおもん役の菅野美穂さんが一人映画の質感を落としているのが残念です。

 最近の時代劇映画は興味さえ湧かない中で期待いっぱいの映画でした。パート1同様にパート2の終わりにも次の話のエピローグのような展開があり、3の期待感が深まります。公開されるなら観てみたいシリーズです。
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