horahuki

フレッシュイーター/ゾンビ群団のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.6
化物?今日はハロウィーンだぞ!

10月はハロウィン⑩

ロメロの『ナイトオブザリビングデッド』で最初のゾンビを演じ、照明スタッフも兼任したビルハインツマンが、監督・脚本・主演(ゾンビ役)等々を自分でこなしたゾンビ映画。内容も『ナイトオブザリビング』をなぞったもので、ある意味非公式リメイクと言えるような作品。

山奥でオッサンが封印を解いてしまいゾンビ(ハインツマン)が復活。山奥のコテージで立て籠もる若者グループを一人ずつゾンビへと変えていき、その波がハロウィンで湧く麓の街へと流れ込むといった内容。その後、結成された討伐隊が腕を競うようにゾンビ制圧へと向かうあたりも『ナイトオブ…』と同じ。

モダンゾンビ第一号という正真正銘のレジェンドが、20年ぶりにゾンビとしてスクリーンにカムバックして暴れまわるというだけで話題を掻っ攫うくらいのインパクトがありそうだけど、残念ながら評価は微妙…。10月課題がハロウィンかゾンビかギリギリまでわからなかったんで、両方対応可能枠として内容に期待はせずに用意してたのだけど、なかなか面白かった。

山奥の限られた空間・限られた人数の中で、数の天秤が急速に逆転していく過程がジワジワと恐怖を煽ってくる。ゾンビ復活により生じた混乱に対する理解という解決の道筋を思考する暇すらないままに、混乱状態のまま全滅していく前半の潔さが良かった。

ここが、コテージに立て籠もった者たちに焦点を当てた『ナイトオブ…』との大きな違い。ハインツマンのゾンビは、板でドアに封をしようがお構いなしにぶち破って侵入してくる。その息をつく暇を与えないほどに容赦のない強襲具合が、ゾンビ第一号としての存在感を示すだけにとどまらず、ゾンビが瞬く間に世界を覆いつくす対処不可能な絶望的「現象」としてのクラシカルさの復権に向けた熱意を漂わせているようにも感じた。実際に危機を伝えようと奔走する主人公的存在も出てくるのだけど、カメラはほぼ寄り添うこともなく、ひたすらに現象の発生、拡大、終息に的を絞っている。

ピッチフォークでグサリとやったり、手を腹にぶち込んで心臓を取り出して食べたりとグロも気合入ってた。心臓はガチの豚の心臓食べてるらしい…。あと、ドラキュラのコスプレした奴が逆に首筋を噛まれてやられるという逆転とか、ゾンビに何故か裸にされて殺された女のもとに彼氏がやってきて、服を着せてあげることで(ゾンビとして)甦るという白雪姫を茶化したようなとこは笑った。しっかり白い車に乗ってきてたし(笑)

ちなみにIMDbによれば、全裸美女を襲うのは絶対にハインツマンゾンビらしい…言われて見れば確かにそうだったわ。完全に役得を満喫してる変態っぷりがサイコー🤣とはいえ、シーンをぶつ切りにして乱雑に繋げていくような編集の雑さは流石に気になったし、基本的にはZ級な映画だから評価低いのも仕方ないよね…
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