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ブロンクス物語/愛につつまれた街のkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『ブロンクス物語/愛につつまれた街』
原題A Bronx Tale.
映倫区分PG12.
製作年1994年。上映時間121分。

俳優ロバート・デ・ニーロが初監督・製作・主演の3役を務めヤリよるなぁ、彼が生まれ育った60年代のブロンクスを舞台に、ひとりの少年の成長と彼を取り巻く人間模様を描いた一編。
同じくブロンクス出身の俳優チャズ・パルミンテリの一人芝居を、彼が映画用に書き改めた脚本にデ・ニーロが興味を示し、映画化が実現。
2人にとって、自伝的色彩の濃い作品。
製作はジェーン・ローゼンタール、ジョン・キリク、デ・ニーロの共同。撮影はレイナルド・ヴィラロボス、美術はウィン・トーマス、編集はデイヴィッド・レイ、衣装はリタ・ライアック。

音楽は当時を彩る名曲がふんだんに使われ、効果を上げている。
デ・ニーロの少年時代を彷彿させる主人公カロジェロ役にフランシス・キャプラとリロ・ブランカート・ジュニア、ソニー役にパルミンテリ、父親役にデ・ニーロがそれぞれ扮するほか、ジョー・ペシらが共演。

1960年のブロンクス。
バス運転手ロレンツォの息子カロジェロは、街を仕切る大物ギャングのソニーに憧れていた。
そんなある日、カロジェロはソニーが路上で男を射殺した現場を目撃する。警察はソニーと部下たちを集めた場所にカロジェロを連れて行き、犯人を教えるよう求めるが、カロジェロは偽証してソニーをかばう。
この一件をきっかけにカロジェロはソニーに目を掛けられ、ギャングが集まるバーへ通うようになる。

先にも触れたように名優ロバート・デ・ニーロの初監督作品で、彼はエリア・カザンやベルナルド・ベルトリッ チ マーチン・スコセッシ、フランシス・Fコッポラなどの名監督、名匠と一緒に仕事をし、映画製作の方法も呼吸もかなり知り尽くしているんやろな。
ほんでもって、遅くならへん時期に監督をするのが夢で無難やった彼は、多数の作品に出演して資金を調達し、いいシナリオとの出会いをじっくりと待ったそうな。
そうして出会ったんが、映画でマフィアのボス、ソニーを演じているチャズ・パルミンテリのシナリオで、ニューヨークで大好評を得た一人芝居『ブロンクス物語』。
パルミンテリにはすでに映画化の申し込みが殺到していたそうやけど、彼も納得のいく映画化の話を待っていた。デニーロと彼は一致したんやろな。
今作品は、ニューヨーク、クイーンズのアストリアに1960年代の街を精密に再現して撮影されてるんちゃうかな。 通りの標識やクルマ、街灯、玄関前の階段、ショーウインドーの商品とか、当時と同じものが揃えられ、サウンドも当時の名曲が適切に配されてた。
メチャクチャきめ細かく神経が行き届いた映画づくりで、かつ抑制的な演出は大スターというより職人的なものを感じさせたかな。
物語はパルミンテリの自伝的要素が濃いが、マンハッタンのリトル・イタリーで育ったデ・ニーロのルーツも投影されているように感じました。
パルミンテリとデ・ニーロは、この善き脚本・脚本の映画で、ホンマ魅力的な演技を見せてくれた。
パルミンテリの演技は、最初のシーンから悲劇的なラストまで、魅了し続けてくれた。
デ・ニーロは、冷酷やけど魅力的なマフィアから息子を取り戻すために必死に戦うイタリア人の父ちゃんを、非常に情熱的かつ共感的に描き出してました。
デ・ニーロは、個人的には、史上最高の俳優の一人かな。
また、デ・ニーロの息子で、犯罪者のソニーと父ちゃんのロレンツォの間で揺れ動き、混乱しながらも基本的には善良な息子カロジェロを演じるリッロ・ブランカットも傑出した存在でしたし、善きの映画の一つでした。
ゼニ持った奴が道楽で撮る作品とは違い、監督にデ・ニーロ名を伏したとしても個人的には善き作品でした。
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