ハシビロコウ

キリング・フィールドのハシビロコウのネタバレレビュー・内容・結末

キリング・フィールド(1984年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

爆心地や病院、強制労働のシーンのセットや迫力がすさまじい。
爆撃のショックで泣き叫ぶ人、
体に乾いた泥が付着したままずっと震えている子、
そこら中にいるんだから映って当然と言わんばかりに、特別な意味もなく映りこむ手足の無いケガ人達、
誰を殺すか吟味する少年兵。
到底演技やメイクとは思えなかった(実際手足を失った人も大勢出演していると思う)。
「日本の一番長い日」もそうだったけど、20世紀中盤~後半の戦争映画と現代のそれでは役者の演技や演出の質が全然違う気がする。
それは役者や監督その他に戦争の記憶が濃くて、演技や演出を作る時の根源にある「内なるもの」が現代人とは違うからかもしれない。

残酷なシーンも、見せ場として「どうだ残酷だろう」という感じではなくて、自然体で残酷な感じ。
残酷な場が特筆するまでもない日常で、それが戦場のリアルなんだということが言いたいんだと思った。
中盤、アメリカに戻った記者が鬱々としながらテレビで戦地のニュース映像を眺めるシーンでは、目を背けるなとばかりにバックで延々と「誰も寝てはならぬ」が流れる。これは名シーンだった。
強制労働の場面では、プランが夜、牛舎に忍び込むシーンがすごい。何をするかと思えば、牛の皮膚にナイフを入れて血を飲む。どんな台詞よりも雄弁に、状況の深刻さを語っている。
ただ、再開シーンのイマジンだけはやりすぎかな?