HK

キリング・フィールドのHKのレビュー・感想・評価

キリング・フィールド(1984年製作の映画)
3.7
ローランド・ジョフィ監督によるカンボジア内戦の実情を描いたイギリス映画。カンボジア内戦を取材したシドニー・シャンバーグの実体験をもとにしている。キャストのハイン・S・ニョールはカンボジア内戦を生き残ったカンボジア出身の医師。クメールルージュのもと強制労働をやらされた経験を持つ。

アメリカ人ジャーナリストのシドニーシャンバーグはロンノル派とポルポト派の内戦抗争であるカンボジア内戦に取材しに行っていました。通訳兼ガイドとして相棒のディスプランとともに行動します。

やがてアメリカ側は撤退を表明。ポルポト派が勝利し、カンボジアに共産主義国家が誕生してしまいます。知識人は全員殺され何も学んでいない子供たちや青年のみで強制労働として農業をやらされます。シドニーらジャーナリスト一行も母国に撤退し、ディスプランも亡命を試みますが、パスポートの偽造に失敗しディスプランは一人残り、クメールルージュに連行されます。そこでディスプランが目の当たりにした光景は地獄のようなものでした。

映画序盤のシドニーは飛行機が遅れたなどサービスが悪いだけでカンボジアを批判的に書こうとしているため、ただのクズみたいに思えた。ジャーナリスト良かれ悪かれああいうやさぐれた性格の人が多いのかと思うとぞっとする。体制側からしたら迷惑極まりない。

しかし、物語が進むにつれてディスプランに対する思いやりとか友情などが露になってちゃんと人間味あるキャラクターとして描かれていて良かったと思う。

何よりもカフェで休憩しているときに唐突にクメールルージュによるテロ行為、爆破などのシーンが入るため、初めて見るときにはかなりびっくりします。他にもBGMの使い方なども、完全にホラー的演出で使っているため、見ていて心臓が悪くなりました。

終盤に行くと、クメール語による会話で字幕もないため、より画面に集中してみることになります。そこで目の当たりにする虐殺シーン。そこら中にある大量の人骨などもとても過激かつ不気味で良いと思いました。

ここまで残虐なことをやるポルポトですが、実際は農業に勤しむことで有名な人間味あふれる良い人であったそうです。極左の共産主義思想を抱きそれを実行したのも、本当にカンボジアを良くしようと”夢見て信じた”かららしいですね。でも、それは打算的で計画性やら確実性やら何もありませんでした。闇雲にみんなで農業さえやれば国が発展すると本気で信じていたのです。その浅はかさと無能っぷりには辟易します。

最後二人が再会するシーンにはジョンレノンのイマジンが流れました。あの歌もポルポトに対する一種の皮肉のようなダブルミーニングが込められていそうでしたね。しょせん夢見て歌を歌う人間は独りよがりで世界を変えるだなんてできないんですよ。

てめえ一人で夢に浸ってろ。
HK

HK