馬井太郎

カルメン故郷に帰るの馬井太郎のレビュー・感想・評価

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
4.0
雨の黒澤、晴れの木下と言われそうなくらい、太陽が燦々とふりそそぐ映画になった。それは、本邦初の総天然色フィルムで、感度が低かったのが、その理由のひとつでもある。オールロケの撮影は、天気が最大の敵で、晴れから曇りに変わると中止になった。撮影は、せいぜい夕方の5時くらいまでで、あとは、毎日宴会だったそうだ。
だからか、雲の無い青空をバックにしたシーンが、俳優達の動きを活き活きと捉え、爽やかな感動が観る者の心を打つ。
往年の二枚目俳優・佐野周二の盲目のオルガン弾きが印象深い。よぼよぼ感が、高峰らの溌剌な動きを一層引き立てている。松竹蒲田撮影所前の食堂に店員として勤めていた女性と結婚し、その長男が関口宏であることは、ご承知の通りである。
私は、DVD以外に当時オンタイムでこの映画を観ているのだが、その記憶がほとんど無いのが、残念でもある。