裏社会は層を為すショートケーキのごとし。
名もなき麻薬ディーラーXXXX。
少しばかり懐が温まった彼は、潔く裏社会から足を洗おうとしていた。
そんな彼のもとに訳アリの2つの仕事が舞い込む。
それは「身元の怪しい地方組織との麻薬取引」と「大物マフィアの娘の捜索」。
数少ない仲間と計画通り仕事を進めようとしたXXXXだったが、思うようにことは進まない。
殺し屋から命を狙われ、更にボスの秘密を知ってしまったXXXXは、果たしてこの難局を乗り切れるのか...。
マシュー・ヴォーン監督の初監督作。
期待したアクションは少なかったが、緊迫の展開とどことなくユーモアを醸し出す物語はスタイリッシュで、非常に好みの作品だった。
ダニエル・クレイグ演じるXXXXは、裏社会において独自のルールで基づいて活動し、小物ながらも実に優雅で粋な存在感だ。
彼が面倒なことに巻き込まれ、そんな最悪の厳しい状況をどのように乗り切り、悪事から足を洗えるのかが見どころだ。
一番大物だと思っていた自分のボスが、実はより上層の裏社会ではあくまで小物だという事実。
美味しそうなホールケーキの上に鎮座しているイチゴやメロンだと思っていた物が、見た目は同じでも実はスポンジケーキに挟まれた細切れの果物でしかないという皮肉は、とても面白い。
何とかラストまで辿り着いた主人公を待つものは何か。
是非とも自分の目で確かめてほしい。
ハナマル!
2020/04/12