あなぐらむ

女の防波堤のあなぐらむのレビュー・感想・評価

女の防波堤(1958年製作の映画)
3.4
大蔵新東宝センス炸裂の急転直下女の一生ドラマ。
敗戦の混乱時に犯され進駐軍相手の特殊慰安婦になった小畑絹子(新東宝顔)が上がったり下がったりポン中なったりしながら生きていく様は、安い醸造アルコールの入った増村保造的な悪酔いスピード感がある。

戦後の特殊女性(溝口健二談)ものとしては「夜の女たち」や「女ばかりの夜」よりも実はこれがリアルなんじゃね? とも思えてしまう、敗戦から朝鮮戦争への雪崩れ込みに翻弄されるふみ子さん(役名)のタフで極端な成り上がりぶりとサディズムで彩られる女達の悲劇は、後に新東宝ピンクに結実していく(実際には違う会社だが)。

ふみ子さんは焼け跡で親友(万理昌代)と二人犯されて、その後進駐してくる米兵から一般女性を守る「女の防波堤」(ガイジン向けパンスケ)になっていく。物語というよりは一気呵成な何か。波瀾万丈すぎて眩暈がする戦後女性の人生。上映当時まだ赤線は合法という。

以前NHKスペシャルで山田孝之の「東京ブラックホール」で戦後のRAAの話題をやってたんだが、近く新作があるようだ。RAAって大蔵省が作ったんだね。