櫻

ホタルの櫻のレビュー・感想・評価

ホタル(2001年製作の映画)
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神風と呼ばれた彼らは最期、何を思っていたのだろう。恋人や家族や友人の顔を思い浮かべ、人生でいちばんの思い出の数々を追想し、そうしてやはり生きていたいと願いながら海に命をなげたのなら。過去になったそれらを耳にすることしかできない私たちは、涙を流すことしかできないのか。海にはいまも数多の命が眠っているのかもしれない。いくつもの人の命が犠牲になったのだから、美談にも美しい神話にもしないで。ひとつの時代が終焉をむかえても忘れないでいて。

私はこの木に実がなるのを見れないかもしれない、と言いながらせっせと苗木に土をかけ、水をやっていたともこさんのように。生きていくって続いていくことだから、次世代に安心して繋いでいける未来をつくっていけるように、そのための土壌をまずはつくらないと。
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