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ユキがロックを棄てた夏
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『ユキがロックを棄てた夏』に投稿された感想・評価

ゲジ
3.4
ラピュタ阿佐ヶ谷にて。
ツタの生い茂るかっこいい外観。映画帰りには歩いて帰りたくなる街のミニシアターでした。

劇場で自主映画に触れるのは初めての経験で、映画の世界の広さにまた気付かされたなと。

内容面、登場人物の区別やストーリーを追うのに若干の苦労はありました。

パンフレットのカットはまんまラストシーンなのか、そこに至る展開も含め見入ってしまうシーンだったと思います。
✔️🔸️『ユキがロックを棄てた夏』(3.7)🔸️『パン屋襲撃』(3.6)🔸️『目白台シーサイドホテル』(3.5)🔸️『歌姫 魔界をゆく』(2.7)🔸️🔸️

 長崎や山川はどう変わって見えるか、確かめる気に結局なった。『ユキ~』は、有名な作だし、当然観た気でいたが、どうも初めてらしい気も途中してくる。長崎をずっと馬鹿にしてたので、敢えて機会があっても外してたのかなぁ。どっちにしても、かなり酷いDVDに納められ、冒頭は8㍉プロジェクターの作動音がうるさい位に入ってのスタートの本作、例によっての徹夜仕事終わっての駆けつけの眠気を半ば以上フッ飛ばす、映画に対する本気度が伝わる力作だ。後の商業映画より、余程いいくらいだ。内藤始め、今でも第一線で見掛ける手練れかつ気鋭の俳優の若き熱情、殴り殴られ吹っ飛び・這いつくばり・血塗れ泥塗れも・男女絡みめ当然といったトコトン体技で決め方が半端ない、に併せ、(90゜)切返し対応・どんでん幅や繋ぎ伸び・手持ち揺れ(長め)・真横に迄至る傾き・乗り物フォロー危なかしく・表情や台詞の極め・暗め荒廃めに纏めた画調・カッティングの誠実さと弛みなし・様々なキャラクター対比のバランスと力・女も芸能とノワール社会内息抜き張り良し・日本家屋内や舗道の独自湿り感・人らのポーズ形と映画カットの相乗極め、音楽や歌も際限なく被り感(静かに凍てつきもし)、名作クラスだ。
 タイトルロールの女の子を見出だし、かなりビッグにした、主人公もおちぶれ、ヒモ以下・安っぽい自分に実入りいい仕事を強要。嫌がる女の子は、ちゃんとしたマネージャーが付いて、より、ビッグにならんとしてる。主人公には暴力で排撃もしてる。そのマネージャーや主人公の仲間らとは、嘗てのバンド仲間だったり、高校時代走り高跳びの1.98mを目指し競うか微睡んだ、不思議なダチでもあり、カメラ気違いで、主人公に惚れてつきまとうオカマもいる。そして、今、主人公とズルズル関係してる、やはり歌手志望の別の女の子も絡んでくる。やがて、死者や死体始末も出て、疲れたタイトルロールの女の子は退いてって、もう1人が売れっ子に逆転してく。惨めなタイトルロールは彼女の顔面に硫酸をかけ、包帯で包んだ顔が出来る。
 まぁ、初期ベルモンドやNVへのオマージュというより、まるでその気で生き抜いてるのだ。ダークで無気力、その裏返し意気込み、その先の実行・実現力は結構凄い。
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 山川の短編2本の最初の方は確かに観たことあり高評価だったが、その後のプロデビューを含め、断然山川派だったのだが、今観ると、山川は懐ろと味わいとセンスはやはり凄いのだが、本気の映画への打ち込みには、笑みある距離が感じられる。身につまされる痛みには届かない。
 『パン屋~』。モノクロ部・画面回転・整理や趣味をあからさま過ぎ台詞・構図やカメラワークの細部までの洗練(フォローから横パンそして顔を起こす室井に併せての天井見えへティルトも)・中間字幕の入込み・「空腹感」はゲバルト招いて絶対の社会観念上回り勢い・刃物や「呪い」の観念への拒み感・クラシック共聴とファシズムや資本主義への流れ。観念性詰め込みとその緩さは、村上春樹原作なのだろうが初期大友克弘の味も。バトルの期待裏切りの、回収味はなかなか、と再認識、予定調和にだけ向いてもいない。
 『目白台~』。一方初見の作で、色々画面に人物紹介らが、書き込まれる、アパート内旅館の2人が色んな客が訪れては、退治か遊びにふける、しかし、ナンセンスこの上ない、ベランダから落ちそうへ向かうカメラワークや襖の大鳥ら仕掛けも次々ふんだん。アバート二階1室2部屋くらいから、下の通りの者との縦図呼応や廊下へ出かかっての外来者やり取りくらいで、ワンカット手持ち追いで終止だが、台詞が跳んで、それをこっそり伝えるスタッフ織り込みや、畏れ多い長崎監督登場でドギマギら、半ばアクシデントも突っ走り止まない。
 山川は長崎に比べ持ち駒や余裕の才が感じられ、これ迄両者には開きを感じてたが、今回は才能不足も懸命持ち札を隠さない長崎に好感。また、自主映画の女王を当時はあまり意識しなかっが、今回の山川作品2本など、充分にノリをコントロールの味わいや可愛さも、しっかり場に定着し、根づいてるを感ず。
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 一方、他もう1本エントリー作も含め、これまで観たこともなく、知らなかった長嶺の『歌姫~』。多分に大がかりで、趣味的に徹し、志はあまり見えず、執着が子供っぽく、奇形感も出た16㍉作で、怪奇もののブルーやグリーンの色調・稲妻光や場の半ば赤くなる花変容や血、肉体分断と再生きっちり、らもある意味リッチでかつ覚束なくもあり、ミニチュアコマ撮りの怪獣愉快多彩動きや岩崖や飛んでく車・吸血鬼牙や狼男変身メイク・車ブレーキ故障や空中跳んでくのや一気剣突き刺し速度特撮・L洋館や山脈のマット絵画・窓越しや跳ぶ鳥らの怪奇図・ら、掛け値なく存分に楽しんでるが、話やカット繋ぎはまぁ、いい加減で、ムードと丹念重ね押しで納得下さい風。
 怪奇好き少女と元女子プロレスラーのアイドル・ユニットがマネージャーと共に、大田舎寺と村人にキャンペーンで、招かれるも、実は、怪獣を飼う人刻み食い人種の罠で、洋館に足止め仕留められてく。しかし、元プロレスラーは吸血鬼・マネージャーは狼男の血を引いてて、仮に食べられても相手の体内で血が混合復活す。マネージャーは犠牲も、2人は勝ち生き残り、この後大スターの道を。スーパーマン的飛行のプロレスラー女と、マツコ的しぶとい女主人の終わりそうで終わらぬ闘いは、しつこい力がある。恐怖に至らない技術と、設定や魔界へも行き来するいい加減展開。
3.5
1978年製作公開。脚本江浜哲寛 、長崎俊一。監督長崎俊一。1979年に『ロッカーズ』と一緒に観た記録があるんだけど何処だったろう。本作のストーリーは全く覚えていなかったけれど冒頭に「いとしのマックス 〜マックス・ア・ゴー・ゴー〜」が流れて来て、ああそうだった、と甦るのです。

でも甦ったのはその楽曲だけで、ストーリーは全く蘇らず、それもそのはずでちっとも面白くないのです。

ユキがロックを棄て、アコースティックギター弾き語りフォークソングの装いでメジャーデヴューする。彼女を見出したのが内藤剛志ということらしく、でも、いまやユキからはヒモ!と罵られている。内藤剛志は、ユキを連れ戻したいのかどうなのか、よく分からない。そんな内藤剛志がたむろするアパートにいるのはロックの仲間なのだろうか。内藤剛志に恋情を持っている青年がいて、誰かに手紙を書いては自分で返事を書いている少女がいて、何故かアラブへの憧憬がインサートされていたり、かつてのメンバーとの争闘が描かれたり、徐々に薄皮を剥がすようにして、あの青く忌まわしい失われたテロルの時代が蘇ってくるようだ。脚本担当は活動家だったんじゃないだろうか。

公園のトイレの便器に顔を突っ込まれる内藤剛志は見もの、というより安全配慮はあったんだろうか。あるわけないか。

ラピュタ阿佐ヶ谷 自主映画の黄金時代 にて

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