ryosuke

水の中のナイフのryosukeのレビュー・感想・評価

水の中のナイフ(1962年製作の映画)
3.9
遠近法を利用した映像の切り取り方が面白く、自然光の煌めくモノクロの湖も美しい。劇伴のジャズも気だるい船上の雰囲気にマッチしている。
ただ、男2女1の構成やら、意味深にクローズアップされるナイフやらから、「太陽がいっぱい」的な展開でもあるのかと思ったが、終盤まで何も起こらないのでちょっとダルイっちゃダルイ。もうちょっと事件があっても良いのでは。クソガキと高圧的なおっさんの会話がずっと微妙に不快だし。まあ映画で男女3人故の必然のイベントは結局起こるんだけども。
右目と左目を交互に閉じると物の位置が変化して見えるやつを映像で再現したり、水上を走っているショットだったりとアイデアが愉快。
何ともいえない微妙な空気のまま終わらせる終着点も面白く、みずみずしい映像や公開時期も考えるとポーランドのヌーヴェルヴァーグだったんだろうなあと思った。
おっさんもちょっとは弱っただろう。恐らく最初の車内とは力関係が変わっていくのではないだろうかと想像させる。ヒロインの「その船員は懲りたの?」という問いかけは夫に向けられているのだろうか。
ヒロインが眼鏡を外した途端に美人になったので、どんだけマイナス効果が強い眼鏡掛けてんだと思った。
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