あーさん

歓びを歌にのせてのあーさんのレビュー・感想・評価

歓びを歌にのせて(2004年製作の映画)
4.5
久しぶりに、心が震える感動をした。
今、まさに希望を失くして、努力は報われるとか真心とか正直に生きるとか…そんなもの、地球上のどこ探してもあるわけないじゃん!神様なんていないし!と思っている人にきっと届く作品だと思う。。

今年に入ってから上がったり下がったりしながら、それでも何とか持ちこたえてきたつもりだった。が、体も心も相当疲れていた。。
いつも悩みの相談相手になってくれる妹から「あの映画、観た?」と言われて観そびれていたことを思い出す。。

癒された。笑った。泣いた。怒った。歌った。切なくなった。
そして、人生を抱きしめたくなった!
こんなに沢山の感情が溢れている映画、他にあるのかな。多分こういうタイミングだからだな。
人生の何たるかがギュッと一つの作品に詰まっている。
そして、大好きな音楽がテーマ。曲がりなりにも好きで歌を歌っている自分にとっては願ったり叶ったり。。
ストーリーとか撮り方とか、ありがちだしそんなに上手くないし、人によってはそこまで響かないかもしれない。うん。
スウェーデンでは大ヒットしたけど、日本で大ヒットする作品じゃないのかも。。
でも、、ざっくりしたニットのような素朴な良さがある。
カシミアとかシルクのような高級品には出せない、手作り感の良さ。
私はこういうのが、一等好き!
小さくても目立たなくても、ちょっとアラがあってもちゃんと自己主張してる作品!
何よりメッセージがとても強く響いてきた!

ダニエル・ダレウス(ミカエル・ニクヴィスト)が小さい頃の辛い過去を封印、都会に出て音楽で身を立て、指揮者としての名声を得た後、体を壊して第一線から退き帰郷。
訳あって名前を変えている彼は、廃校になった小学校に住むことに。
そこで、村人から聖歌隊の指導を頼まれる。
初めは音楽にはもう関わるつもりはない、と断るのだが、村人たちと親しくなるにつれて、ダニエルにも彼らにも変化が。。

なぜ、彼は故郷に帰ったのか。

「音楽で人の心を開きたい」という夢のもと、歌うことに囚われないダニエルの指導法はユニークで、村人達にだんだん一体感をもたらしていく。
しかし…聖歌隊の練習の度に明るくなって楽しそうにする妻が許せない輩が、、どのご時世にもいるのだな。
嫌がらせにも屈せずDV、頑なに心を開かない夫の元で我慢していた小さな村の女達が、自己主張し始める。
それを、ダニエルが女達をたぶらかして良からぬことを企んでいるのだ、と解雇しようとする心の狭い牧師…。
しかし、どんなに虐げられても、皆の心だけは動かせなかった。

プロ指揮者としてのハードな日々に、心身ともに疲れ果てていたダニエルの硬かった表情が、だんだん柔らかくなっていくのが良い。
やはり愛がなくちゃね。
彼と親密になっていくレナ役のフリーダ・ハルグレン が、まるでゴムまりのようで愛らしい。

封建的な土地柄ゆえに、女性であることや障害や体の特徴を未だにからかわれる辛さに甘んじてきた聖歌隊のメンバー達だったが、ダニエルの影響で皆が”自分の声”=思いを口にし始める。

ガブリエラ(ヘレン・ヒョホルム)の独唱するシーンは圧巻!
これで彼女は一人で立てる!!
彼女はミュージカル女優なので、歌の巧さは折り紙付き。

ラストの演奏会のシーンでは、、とてつもない大きな感動の後からえ?嘘でしょ?…となるけれど、
これはハッピーエンドだと思いたい。
きっと、人生ってそういうことなんだなって、私は思いたい。。

オープニングとラストに同じ情景が出てくるけれど、幼い頃のダニエルは確実に違うダニエルに生まれ変わっていた。

人は変われる。
辛い過去を乗り越えて、人生も上書きできるんだ!今は辛くても、いつか浮上できるんだ!
とてもあったかいメッセージ、届いたよ。

ありがとう!

妹に感謝。
いつも心配かけてごめんね…、
元気出た!(単純、笑)



おまけ
今週、風邪をこじらせ5日間寝込むことに。。
その間、うちの男衆の家事能力の高さに改めて感心。
娘がいないので男だけでもやるしかないのだけれど、2・3日ならともかく食事も洗濯もゴミ出しも頑張ってくれた!
特に夫はいつになく優しく…(もしかして裏があるのかも⁉︎)。
とりあえずいつでも先立てる&嫁(息子だけど)に出せるわ⁈と思った次第❗️
あーさん

あーさん