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サウダーヂのwigglingのレビュー・感想・評価

サウダーヂ(2011年製作の映画)
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5回目の鑑賞はYCAMシネマにて。「ラッパー/リリック/ヒップホップ」というイカした特集上映で。
土方とHip-Hopクルーと外国人労働者、そして彼らを取り巻く胡散臭い連中が織りなす地方都市の風景。これぞマスターピースにして2010年代の最重要作品。

この国はとっくに多民族国家になってる事を最初に描いた作品ではなかろうか。
そんな変化が真っ先に現れるのが地方都市であり、ローカルに暮らすラッパーたちがその変化をビビッドにとらえていく。中央では絶対に見えない景色を。都築響一が地方で活動するラッパーに最先端を見出すのもそんな理由ですよね。

これまでの空族作品では直接表現できていなかった幻想シーンをハッキリと描いているのが本作のハイライト。バブル期で地方にも元気があった頃の週末の祝祭。BOØWY「わがままジュリエット」が鮮烈。
個人的には、EをキメたU4K(田我流)が夏祭り会場をフラつくシーンにぐっときたんだよね。提灯を避けながら歩くシーンで、エドワード・ヤン『牯嶺街少年殺人事件』がフラッシュバックしたんですよ。その瞬間に本作が自分にとって大切な作品になりました。

ソフト化されてないうえに35ミリフィルムしかないから観るのに少し苦労するかもしれません。裏技ですけど、フランス版DVDは存在するので何とか取り寄せてPCで観るという方法もありますよ。是非観てください。
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