「彼氏がいないってことは世界中がライバルだ。でもな、彼氏がいるってことは、ライバルはたった一人だ。」
サブカルクソ野郎がモテる話。
もっと爆発的なモテっぷりを想像してたけど、割とマイルドというか誰にでも起こり得そうな塩梅だった。
サブカル固有名詞と大袈裟に流れる数々の名曲でお茶を濁してはいるものの、話の大筋は結構普通のラブストーリー。
自分を好いてくれてて後ろ暗いものもないけど、そこそこ重くてそこまで好きではない麻生久美子と付き合うか、嫌われてはないけどイマイチ掴めてないし彼氏もいてオマケに不倫してる長澤まさみを追いかけるかって話。
ラストシーンの後どうなったのか気になりますねぇ。「卒業」のダスティン・ホフマンのように、その場はそれで良いかもしれないけどこの後どうすんの?って終わり方。ああいう状況の延長線上にある恋愛って絶対長続きしないからね。
考えてみれば、途中で麻生久美子を選んだとしても多分長くは続かなかっただろうから、どのみち…な物語ではある。「モテキ」ってタイトルだけど、このモテはあくまで瞬発的なモテな気がしてならない。
大体、「あの子いいなこの子もいいな」ってなり得る状況自体、恋愛を始めるのに適してないと思うよ、私ァ。モテ期を扱った映画にこんなことを言っては元も子もないが…。
楽曲の使い所は一長一短だった。具体的には「格好悪いふられ方」のカラオケ映像風な使い方はイマイチだった。状況とマッチしてなかったし。アレ、結婚前に昔の女振り返ってる歌だから。
エンディングが「今夜はブギーバック」だったのもちょっとな〜。ただ好きなだけだろ。必然性もなければマッチしてもないよ。
一方で、「Lover Soul」の使い方は良かった。Lover Soulが流れた時点で、その後どう展開するか分かる。セックスの歌だからね。
それくらいベタな使い方ではあったけど、それで良い。劇伴なんだから、イメージ通り使われた方がいい。
ドラマのキャラクターに「サブカル好きで〜〜す」な仕草をされると「クッサ」と感じてしまう性分なので、終始ちょっとモヤモヤしながら見てた。似たような例で言うと「花束みたいな恋をした」の主人公カップルのクサさに比べたらいくらかマシってレベルのクサさだった。
今の自分がスマホで配信で見たから楽しく見られたけど、何年か前の自分が映画館で見てたら絶対嫌いだっただろうな、コレ。
見る人の恋愛観や経験や現状が、評価にかなり影響してくるタイプの映画だと思う。