shxtpie

悪魔のいけにえのshxtpieのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
3.5
トビー・フーパーといえば、黒沢清である。黒沢清といえば、トビー・フーパーである。トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』といえば、黒沢清である。

不可解なズームイン、ズームアウトが多い。また、カメラの位置が、異様に低い。たとえば、レザーフェイスの家の自家発電機をとらえたショット。かなり低いところから、あおり気味に機械をずいずいっと映す。それ、映す必要あるの? という感じ。だが、わけがわからないがゆえに、妙に強い印象を残す。

椅子に括りつけられたマリリン・バーンズに、執拗に迫るカメラはものすごい。レザーフェイス一家の暴力よりも、彼女の顔(特に瞳)にへばりつくようなこのカメラは、よっぽど暴力的だと言えるだろう。

また、軟禁されたバーンズを執拗に映すシークエンスで、彼女の髪や頭に、あまりにも寄りすぎたショットがある。ここは、フォーカスも合っておらず、ズームアウトしないとなにが映されているのか、まったくわからない。その数秒間の、高度に抽象的なショットに、「これが映画である」としか言いようのない物質的ななにかを感じた。強烈である。

取り立てて音楽は使われていない、ということにはなっているが、しかしこの「音楽」であろう抽象的で金属的な音響はなんなのか。この音響だけを取り出したものを聞いてみたい。……と思ったら、 Wayne Bell というひとが作曲しているではないか。 The Quietus のこの記事( https://thequietus.com/articles/23290-texas-chainsaw-massacre-soundtrack-article )は、見出しが「『悪魔のいけにえ』のスコアをミュージックコンクレートとして聞くべき理由」といったふうになっている。なるほど……。

伝説的なラストカットは、やはりすばらしい。

フーパーに賭けろ、そして真の面白さをつかみ取れ。(黒沢清 bot より)
shxtpie

shxtpie