このレビューはネタバレを含みます
終戦前後からベトナム戦争まで横須賀のバー「おんぼろ」のママの自分史と「正史」たるニュース映像が交差するドキュメンタリー。押し出しがつええ…。
ニュース映像のコラージュの編集がやたら上手く、それも下山事件やら浅沼刺殺やら、なかなか映像では目にしたことないものばかりでした。
ママのインタビューも、聞く方も答える方もやたらにあけすけで、言葉も今じゃ危ないものばかり。語られる中身も差別暴力金宗教とかなり生々しいのですが、余りにあっけらかんと喋るので、自然と聞き入ってしまいます。
渡米するというラストもかなり意外で、これほど「その後」が気になるドキュメンタリーもない気がします。
そもそも何を狙ってこの映画を撮ったのだろう?市井の記録なのかママ個人に惹かれたのか「ニュースの世界」への痛烈な皮肉なのか。
ママが早口なので、若干聞き取りづらい箇所がありましたし、人物相関も分かりづらいので、気を抜くと何の話してるのか分からなくなりそうです。
当時の人々の有り様が抜群の編集力でもって映し出されている傑作でした。