michi

自転車泥棒のmichiのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
-
いつかは観たいとずっと思っていたけど、重い話のためになかなか手が出なかった作品。勢いで再生して、やはりやり場のない苦しさが残りました。

イタリアも戦後は本当に貧しい国だったのがよく分かる。貧しい一家は生活のためにシーツを質に入れ、質屋はIKEAみたいな棚がシーツで埋まる異様な光景。やっとありついた仕事をするための必需品を準備するだけで一苦労って、状況が悪すぎる。今なら自転車なんて雇い主側が準備してくれそうなものだけど、そうもいかない世の中。自転車があるかないかでその先の生活が決まるって大変な世の中だ。
自転車泥棒だって、盗むほかない状況だったんだろうな。貧しさが犯罪を生み、街の治安が乱れていく悪循環はどうしたら断ち切れるんだろうか。

ヘンリー・フォンダやケーリー・グラントの名前が挙がりながらも、結局親子は時代に翻弄された素人が演じていて、当時のイタリアの生活がリアルに見える。
たまにある素人主演って、ホント感心してしまう。ちゃんと世界観ができあがっているもの。演じる側はもちろん、監督はじめとした制作チームの力もすごいんだろうな。
michi

michi