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デッドマンのHKのレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
3.8
ジム・ジャームッシュ作品で唯一の西部劇。
長編6作目で『ナイト・オン・ザ・プラネット』の次の作品。モノクロ。
思ったよりもしっかりと凝った時代考証で美術・衣装・小道具も本格派。
いわゆる正統派ともマカロニとも違う独特のテイストの異色西部劇でニール・ヤングの即興ギターの音色がイイ感じ。

実はずいぶん前に気になってDVDを購入したまま放置しており、今ごろ初鑑賞。
会計士の職を求め辺境の町にやってきた頼りない風情の青年が思わぬトラブルに遭遇、濡れ衣を着せられ瀕死の傷を負いながら逃亡生活を続けるうちに伝説のアウトロー化・・・

ジョニー・デップ扮する主人公の名がウィリアム・ブレイクで英国の詩人と同じ。
この詩人の詩や関連ワードがいくつも出てくるので、それを知っているかどうかで本作を楽しめるレベルが違うのかもしれませんが、知らない私でもこの風変りなテイストはかなり楽しめました。

本作はマカロニウェスタンの『情無用のジャンゴ』が元ネタとの噂を耳にしたこともあり、確かに、瀕死の主人公がインディアンに助けられるところが似てると言えば似てなくもないですが、う~ん、やっぱり元ネタというには無理がありそう。せいぜいそこだけヒントにしたという程度ではないかと。

出演陣は皆出番は少ないながら、嫌味な工場の支配人にジョン・ハート、事件の元凶のお騒がせキャラにガブリエル・バーン、人を喰った殺し屋ランス・ヘンリクセン、長編映画では本作が遺作となったロバート・ミッチャム、他にもなぜか女装のイギー・ポップ、ビリー・ボブ・ソーントン、アルフレッド・モリーナなどなかなか豪華。
はぐれインディアンの“ノーボディ”(ゲイリー・ファーマー)はジャームッシュの次の作品『ゴースト・ドッグ』でも同じ役でカメオ出演しているとか。
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