〈リトル・ブッダというか、だいぶブッダ〉
宿命を背負った人間を描く試みこそ『ラスト・エンペラー』同様。しかし本作は、ベルトルッチの「宿命をまだ知らない幼気な男の子フェチ」が爆発しすぎている。
スター・ウォーズEP1のアナキンと同じで、あまりの幼さにドラマとしての見応えがない。最後まで子どものままなのは映画としてはかなり挑戦的なのだが、大人になって宿命から抜け出した『ラスト・エンペラー』と比べると、どうしても見劣りする。
しかも、欧米人向けの配慮からか、ブッダご本人の生い立ちにかなり時間を割いてしまっている。正直Wikiを繰っているだけの感覚は否めなかったし、リトル・ブッダ君がブッダの人生を描くための狂言回しにすら思えてきた。ブッダをキアヌ・リーブスが演じたあたりからは、あまりの気色悪さに鳥肌が立ってしまった。これなら手塚治虫の『ブッダ』のほうが百倍おもしろい。
これでベルトルッチの「東洋三部作」はすべて観終わったが、ポン・ジュノにせよ、ファルハディにせよ、自国から離れた文化を映画にすると、どうしてもキレが悪くなってしまう。