真っ黒こげ太郎

ウォーロード/男たちの誓いの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.8
生きるも死ぬも、最後まで一緒だと誓っていた…。




19世紀末期、清朝の圧政により民が反発し、太平天国の乱が巻き起こった時代。
清朝将軍の龐青雲(パン・チンユン)は一人生き残り、仲間を失ったことを嘆いていたが、リィエンという女性と出会い、生きる気力を取り戻すのだった。

その後、盗賊団のリーダーである趙ニ虎(ツァオ・アルフ)とその弟分である姜午陽(ジアン・ウーヤン)と出会い、行動を共にすることに。
塊軍の食料強奪に成功し意気揚々と村に凱旋する盗賊団。そこでパンはリィエンがアルフの妻であることを知る。
そんな中、塊軍が襲来し盗賊団と村に危害を加える。

盗賊である以上碌な生活ができない、そこでパンはアルフ達に朝廷に兵士として仕えることを提案する。
パン、アルフ、ウーヤンの三人は忠誠を誓い義兄弟の契りを結ぶ。

兵として戦いで勝利を納めてゆく、義兄弟の三人。
だが、パンの将軍としてのプライドと野心が表立ったり、パンの思想にウーヤンが感化されるなどして、三人の思惑が徐々にすれ違っていき…。




戦乱の世で、国を守る為に義兄弟の誓いを交わした男達の生き様を描いた、歴史スペクタクル・アクションドラマ。
監督は「捜査官X」のピーター・チャン氏。

何でも、実際の事件をベースにした「ブラッド・ブラザース 刺馬」なる映画のリメイクだそうな。(未見なので詳しくは分からない。)


今作、主演がカンフースターのジェット・リーさんに加え、アンディ・ラウさんに金城武さんという豪華な布陣!!!
私的にはアクション俳優のイメージがある俳優さんが多く出てるので、てっきり派手なアクションメインかと思いきや、以外にもしっかりとシリアスなドラマ路線。
前半は三人がのし上がってゆく大規模でド派手なスペクタクルが展開されるが、後半からは三人が徐々にすれ違ってゆき壊れてゆく愛憎劇をシリアスに描いている。

前半、三人が初めて群を率いて挑むド派手な戦いの場面は大迫力で見ごたえ抜群。
血が流れ、肉が飛び散る凄まじい合戦は壮絶!!!
無論、リーさん、アンディさん、武さんにもちゃんと肉弾戦の見せ場があるぞ!!!
そんなこんなで前半はアクションとしての見ごたえが十分にある。


しかし後半、リーさん演じるパンが将軍としての闇をさらけ出してからは、三人の友情が徐々に崩れ行く様がドラマ率多めでシリアスに描かれる。
将軍としての生き方を重んじるパン。
真っ直ぐな性格のアルフ。
そして二人の思想の間で揺れるウーヤン。
彼らの織りなす愛憎のドラマは見ていて心苦しいが目が離せない。
三人が交わした”契り”が最後の最後まで重くのしかかり、そこで描かれる切ないクライマックスとラスト。

後半は一転して人間ドラマ重視な内容になったが、そのドラマはアクション以上に凄まじく、見ごたえのあるものだった。
(ジェット・リーさん、アンディ・ラウさん、金城武さんの演技も見事。)



思ってたような「痛快丸かじり!」な作品ではなかったし、歴史に明るくない故に理解するのが大変な部分はありましたが(汗)、それでも良くも悪くも壮絶なドラマに圧倒される一作。

よくあるお気楽なカンフーアクション絵巻を期待するとガックリするかもしれんし、評価が分かれるのも仕方ないかもしれんが、香港スター三人の凄まじい演技は必見です。