ひろぽん

真珠の耳飾りの少女のひろぽんのレビュー・感想・評価

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)
3.0
17世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメールの有名な絵画である『真珠の耳飾の少女』を着想に書かれた小説を映画化した作品。

この絵画のモデルは誰で、どのようなドラマや背景があったのかをフィクションとして描いている。いまだにこの絵に関してモデルも詳しい情報も解明されていないが、こんな解釈があるのかと想像を掻き立てる構成が面白い。

ストーリーを楽しむと言うよりは、絵画の様な世界観を目で楽しむ芸術的な映画。言葉も全体的に少なく表情で全てを表現している。光や影、静粛な空間や17世紀のオランダの街並みといった趣のある風景を味わえる点が魅力的。

舞台は1660年代のオランダ。家計を支えるために働くこととなった少女グリートは、フェルメール家の召使いとして働くことに。掃除の仕事をしながらヨハネスと彼の絵に興味を持ち始めるグリートと、彼女の芸術的なセンスを見抜き絵の仕事の手伝いをさせるヨハネス。グリートとヨハネスの2人の間には淡い恋心が…。ヨハネスの妻キャサリンはそれを見逃さず嫉妬していくなんとも複雑なお話。

絵に無関心な妻のキャサリンより、若くて絵に興味もあり調合もするグリートに惹かれる理由は分かる。日の当たりすらも気にしないような無頓着な妻は彼の理解者にはなれないと思う。

自然にある色々なものを混ぜて絵の具の調合をしていて、楽しそうな反面とても大変そう。

色白な肌に青のターバンが似合う若かりし頃のスカーレット・ヨハンソンや、コリン・ファースの色気がたまらん。

どのシーンを切り取っても絵になるような芸術的な描写も素敵。ラストはちょっと切ないし、グリートの様にヨハネスに同じことをされたとしたら貰ったものを捨ててるだろう。

劇的な描写変化がないのでストーリー性を求める人にとっては退屈な作品だが、芸術に興味がある人なら楽しめる。フィクションだけど、実在したヨハネス・フェルメールという画家や名画である『真珠の耳飾りの少女』を知るにはとてもいい作品🎨

女性の絵が多いフェルメールの作品の中で『真珠の耳飾りの少女』も好きだが、『兵士と笑う女』の白と黒、光と影のコントラストを上手に使った作品が1番好きだな。
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