砂場

万事快調の砂場のレビュー・感想・評価

万事快調(1972年製作の映画)
4.2
ゴダールとジャン=ピエール・ゴラン、ジガヴェルトフ集団の8本目。

映画を撮ろう、お金がいるわ、小切手を何枚も切る場面から本作は始まる。スターを雇えば資金が集まる、物語がいるわ、物語、、、
モンタンとフォンダになんていうの?
労働者も農民も資産家も出そう、働く労働者、俗物、ポンピドー大統領の映像。社会の変動、労組、ストライキ、社会の変動、機動隊
アメリカ人のジャーナリスト女性スーザン(ジェーン・フォンダ)、記者魂は死んだと英語で放送する。夫ジャック(イヴ・モンタン)と精肉工場の社長にインタビューするがちょうどスト中で社長は部屋に軟禁されている。ビルを断面で切ったセットで社長室と上下左右の部屋が見える。
社長がインタビューに答える。自分はイタリア出身だ。スト?組合とも大衆からも離反している、階級闘争?経済成長の恩恵、マルクス?
労働組合の代表が、ストのメンバーを批判する。数人の煽動者によりかえって労働者が迷惑している、組合側の人間とスト労働者の揉み合い
夫と育児、食事の支度で揉めるスト参加中の妻、男女の役割。
女の地位、新左翼の歌、組合は我々に待てというだけ
ジャックの語り。食うためにCMを撮っている。ヌーヴェルヴァーグで脚本家で映画界に入った。5月革命、水に合わずだった。スーザンとの出会い、馬鹿な映画よりCMのがましだ、体制とは距離を置く。
政治的映画を取りたい、ストッキングのCM撮影に戻る。
スーザンの語り。アメリカの新聞社のパリ支局に3年半、フランスにいまいち馴染めず。5月革命の記事で認められ新左翼の”専門家”に。英語、学生から労働者に取材対象を移す。スーザンとジャックは夫婦喧嘩、揉め事、映画、食事、セックス、ペニスの写真。現在(1)、大規模な工事現場、若者と機動隊の衝突。1972年。
映画を撮ろう、現在(2)、スーパーマーケット(カルフール)、長回しでレジを順番に写す。共産党のプロパガンダをする男、本の値段しか言わず内容は空疎で学生に突っ込まれる、略奪が始まる。現在(3)どんな映画も終わる、、、カフェでビールを飲むジャックとスーザン、1972年、フランス、

万事快調というとピチカートファイブの曲を思い出す人も多いかも、、それはさておき。
本作の舞台1972年というと68年の5月革命から数年経ってジガヴェルトフ集団の結成68年時点よりは”5月”に対する距離感が感じられる。68年の時ゴダールは38歳で、ゴランが25歳なのでゴランの方がガチの新左翼であっただろう。ゴダールは新左翼に共感することは多かっただろうけど。本作でも共産党やその配下の労働組合についてはより戯画的に描かれている一方で、新左翼側についても微妙に突き放した感もある。ジャック自身の語りで”5月”にはちょっと距離を感じたという場面があるが、そんなところか。スーザン役のジェーン・フォンダが素晴らしい!フランス語セリフの時はフランス女優のように見え、英語セリフの時はアメリカ女優のように見える。どっちにしても気が強いのだがw気の強さ加減がフランス語と英語では違う気がする。フランス語の時の方が性的であり、英語の方がキャリアアップ的だ。

名場面と言えるスーパーマーケットでの長回しの大騒ぎは事態は深刻ながら映画的なヒャッハー感がありクライマックスにふさわしい。その騒ぎの中論破される共産党のおっさんのしょぼくれ感がまた笑える。
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